子供の親権者は何を基準に決まるのですか

ご相談内容

夫と性格が合わず離婚予定です。1歳と5歳の子供がおり、わたしは、どうしても子供は手放したくありません。

結婚している間は専業主婦だったため、特に手に職はなく、離婚後、養育費をもらったとしても、毎日の生活費を稼ぐために、夜の仕事を見つけて、稼いでいます。子供は夜間の保育園に預けています。

実際は、朝から昼は寝ていることが多く、近所の人や時々遠方の親にも面倒をみてもらっています

これで収入は安定するので、子供は育てられるので、問題はないと思っています。

夫は、夜の仕事をしている女に子供は渡せないと、夫と夫の両親で、親権をめぐる話し合いになっています。

今後調停や裁判を行うことになりそうですが、調停員や裁判官は、何を基準で親権者を決めるのでしょうか。

実際は母親がなること多い

夫婦が離婚し、子供が未成年の場合は、その子供の親権者と監護者を決定しなければなりません。

当事者同士で、どちらが親権者になるか決まらない場合は、調停や審判あるいは裁判によって、どちらが親権者になるかを決定します。

実際に、家庭裁判所が扱った例は、そのほとんどが、親権者も監護者も母親になることが多いようす。子供が小さいうちは、母親と生活したほうがよいとされることがほとんどです。

環境を重視?現状の原則

母親が親権者も監護者になることが多いのは実態ですが、父親にも親権が与えられる場合もあります。

例えば、父親が昼に定時の仕事についており、その間には、親族や保育園で、子供の面倒をみてもらい、父親は仕事が終わったら、子供と夕飯などをとったりして、子供のために過ごす時間が多く、子供が病気になった時の環境や他体制が整っている、その反面、母親は朝も昼も寝ていて、夜の仕事にでかけていて、あまり子供の面倒を見る時間がない、などという場合は、父親が親権者になるでしょう。

つまり、どちらの方が、どれだけ子供と接して子供のためになる生活ができるかということが重要です。

現状、どうなっているのかが決定的な要素となる面も否めません。現状が問題ないのであれば、現状通りにすべきであると判断されがちなのです。

親の状態

親権者と監護者を決めるための条件として、まずは、子供の面倒を見る親の身体的・精神的状態が良好であることです。体の病気があり、寝込んだり、入院がちであったり、また、精神的状態が悪く、情緒不安定であると、健全な子供の養育ができません。

また、住所不定であったり、居場所がよくわからなくなる、という状態も、子供にとっては、よい環境ではないでしょう。

経済状態も重要です。どちらかが無職であったり、収入が安定しないと、子供を育てることができません。どちらがお金が多いか、収入が多いかは問題ではありませんが、子供が最低限の健康的な暮らしができる収入は必要になります。

また、子供と接する時間がどれだけ持てるのかも、決定のための条件になります。

経済的に問題がなく、お金があっても、子供の面倒は実際は両親や他人任せで、親として子供と会話する時間もない場合は、親権者としては相応しくありません。

自分の子供で、養育する義務があるわけですから、子供の成長を見守り、どれだけ子供に時間を使って一緒に過ごせるかも大切です。

子どもの環境

たとえ、親権者でも子供を一人で育てることはできません。自分が収入を得るために、仕事をしている間に、子育てを助けてくれる人が必要です。それは、両親、親族、保育園、知人などかもしれませんが、子供の養育を手伝ってくれる人が確実にいるかも、判断の条件です。ただし、その養育を支援してくれる人が、子供の成長にふさわしい人か、その人の身体的精神的状態は問題ないか、子育ての経験があるか、なども、審査基準になります。

また、子供が育つための、生活環境も重要です。どちらがが親権者になることによって、遠方への引っ越しがありそれが子供の学校や生活に悪影響がないか、などです。親の離婚は子供にとっても、大きな影響を及ぼします。できるだけ、それ以外の環境の変化を小さくすることが望ましいでしょう。

子供の年齢も、判断の基準です。一般的に、10歳くらいまでは、子供は母親と一緒にいた方がよいとされることが多いのが実情ですが、15歳以上になると本人の意思も優先されます。15歳以上であれば、自分の環境に対して正しい判断をする能力もあるため、家庭裁判所でも、親権者・監護者の手続きをするなかで、その子供に陳述の期間を与えなければなりません。

離婚の原因

両親の離婚は子供にとって、精神的に大きな影響があります。

ある程度の年齢になれば、なぜ両親が離婚したのかも、わかってきます。そのとき、どちらの両親が離婚の原因を作ったのか、も判断されることもあります。離婚の責任が、どちらかの不貞行為や暴力であった場合、責任のあった方を親権者としてふさわしいのか、を問われます。

どちらの親が、子供の親権者・監護者になるかは、これだと決まった判断基準をはありませんが、子供にとって、どちらの親と生活することが、健全に成長できるかの観点で決定されます。

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