ご相談内容
結婚してしばらくしてから、なかなか子供ができないことや、親戚付き合いのストレスからか、妻がアルコール依存症になっています。
ひどいときは、朝からアルコールを飲んで、家事もせず、家に引きこもっています。いつも酩酊している妻に、病院へ行くように勧めているのですが、自分はアルコール依存症ではないと言い張って、診察を受けません。酔って、暴力をふるったり暴言を吐いたりすることはないのですが、いつも飲酒している妻に愛想がつきて、離婚したいと考えています。
アルコール依存症を理由に、離婚することはできますか。
離婚事由
民法770条で、夫婦は次の5つの場合に、離婚の訴えを起こすことができると定めています。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
婚姻を継続しがたい重大な事由
婚姻を継続しがたい重大な事由とは、あいまいな表現になっていますが、実際の裁判で認められた原因をみると、
- 性格の不一致
- ハラスメント(暴行、虐待など)
- 金銭問題
- 性的問題
- 宗教上の問題
- 重度の病気
- 犯罪
などがあります。
深酒
アルコール依存症だけを理由に離婚原因になるのは難しいかもしれません。なぜなら、配偶者がアルコール依存症になるには、何か原因があり、配偶者はお互いを助け合うために、原因を聞いて取り除く努力をすべきだからです。
もしかしたら、夫の親族の問題で悩んでいれば、どうしたら解決できるかを、話し合い、自分ができることがないかを考えることによって、アルコール依存から抜けられるかもしれません。夫婦として愛情があるならば、アルコールを責める前に、悩みを聞いてあげることも大切です。
アルコール依存症
過度の飲酒でアルコール依存症になり、病院でアルコール依存症と診断された場合は、これはれっきとした病気です。逆に病気になった相手を、病気を理由に見捨てて離婚することは認められません。
まずは、病気の治療に専念して回復を助けてあげてください。
回復の見込みがない場合
アルコール依存症で、入退院を繰り返して、回復の見込みがないにもかかわらず、配偶者を支え続けることは大変です。
また、アルコールが理由で、配偶者や子供に暴力を振るう、働かない、常に酩酊状態で会話ができないなどであれば、離婚が認められる可能性もあります。アルコール依存症は、離婚事由の一つである「配偶者の強度の精神病」には該当しませんが、飲酒による様々な生活への影響を考えると、それが原因で夫婦関係が修復できないほどに破綻していれば、婚姻を継続しがたい重大な事由にあたる可能性もあります。
個々のケースによって異なりますので、まずは専門家に相談してみるのもいいかもしれません。