ご相談内容
学生時代から交際していた彼女と結婚しました。彼女は、地味でおとなしい性格で、信頼して家庭を任せていけると信用して、就職後結婚しました。
彼女は、もともと無口な性格なこともあり、17年の結婚生活では、特に文句も言われることもなく、時々自分の浮気がバレそうになることもありましたが、その都度乗り切ってきました。
専業主婦の妻は倹約家で、浪費することもなかったので、給料も全て渡して、家計を任しており、その甲斐あってか、ローンですがマンションを購入することもできていました。
ところが、ある日、妻から、もう浮気に耐えられないと突然離婚を言い渡されて、離婚調停を起こされてしまいました。
確かに、ここ何年かは、自由に風俗に通ったり、他の複数の女性との浮気を時々繰り返していて、特に妻と向き合うことはなかったように思います。
自分の行動を省みると、妻が不満をためて離婚を切り出すのはわからなくもないのですが、問題は、財産分与の話し合いで、妻は貯金はほぼゼロだと主張していることです。
妻には、絶対隠し財産があるはずですが、いくらどこにあるか見当もつきません。
財産分与
離婚を決意すると、まず考えるのは、お金のことです。
離婚するにあたって考えるお金のことは、夫婦2人の財産を分ける財産分与、離婚するまでの婚姻費用、子供がいる場合は養育費、離婚にあたってどちらかに原因がある場合は慰謝料、です。
婚姻費用や養育費は、お互いの収入を明らかにした時点で、算定表に基づいて計算されますし、慰謝料も有責性に基づいて決定されます。
しかし、財産分与については、お互いが保有している財産が明らかにならなければ、半分にすることもできません。
そのため、できる範囲の情報は早めに取得しておく、例えばどこ銀行のどこ支店に口座がありそうだ、この程度でも、情報がない状態に比較すると断然良いです。
調停での対応
財産分与は、基本的に別居時に存在している財産を分けることになります。
相手に対して何かおかしい、何か隠していると疑っても、その財産が発見されなければ、何もできません。
ご相談者の場合は、離婚調停が起こされて、同時に財産分与を決定するときに、妻が、貯金はない、と主張し、夫は、自分の年収から想定して、あるはずだ、と主張しましたが、証拠もないために、調停員から「別居時にある財産を分けます」と妻の主張とおりになっていったようです。
調査嘱託?
離婚にあたって、配偶者が何か隠していると思ったら、そのままにせず、かなり深く調査する必要があります。
離婚調停や離婚裁判になった場合は、裁判所から銀行などに対して、預貯金の有無や残高を公開するよう求める「調査嘱託」という手続きがあります。
弁護士に依頼していない場合は、「調査嘱託」について、調停員から知らされることがありませんので、しらないまま終わってしまうこともあります。
この「調査嘱託」を使うことにより、預貯金が明らかになり、その上で財産分与を行います。
貯金の額にもよりますが、少なくとも100万円以上の預貯金隠しが疑われる場合は、弁護士に依頼して、訴訟への移行も考慮して、調査嘱託を依頼するのも方法の一つです。
ただし、相手が、離婚における財産分与で、調査嘱託までも考慮して、現金で動かしていた場合には、隠し財産は発見できません。
やはり、少しでもきっかけを掴んでおくことが肝要です。