
ご相談内容
夫の浮気が原因で離婚します。子どもも2人いて、わたしが育てることになっていますが、離婚後の生活も不安ですし、なにより離婚原因を作ったのは夫なのですから、できるだけ多くの金額を取りたいと考えています。
夫は自由業で収入は年収300万円で、結婚していた時も、わたしの方が年収が多く、生活費もわたしが多く入れており、財産もほとんどありませんが、不貞慰謝料の名目で多く払ってもらいたいです。
気持ちでは、財産分与は1億円で、養育費も月20万円はほしいです。離婚調停で、この金額を請求できますか。
離婚調停
離婚にあたって、夫婦の話し合いがまとまらずに、離婚調停になることがありますが、調停では、離婚にまつわる、お金のことも話し合っていきます。
例えば、養育費、婚姻費用、そしてご相談者様のように慰謝料を入れた財産分与を取り決めていきます。
財産分与と養育費の金額
離婚相手に財産分与や養育費を請求する側は、相手から1円でも多くもらいたいという気持ちになることはよくあることです。
ただ、実際に、調停の場で、財産分与や養育費について、決まる金額は平均すると、現在の日本の世帯年収を反映するために、期待するほど多くはないのが現状です。
一例ですが、平成28年司法統計年報家事編によれば、財産分与は400万円以下の夫婦が50.7%です。もちろん、財産分与は婚姻期間の長さにもよりますので、結婚して2年未満の夫婦は200万円以下が80.4%ですが、結婚した20年以上の夫婦では1000万円の財産分与を取り決めた夫婦も21.1%います。
また、養育費を見てみますと、月6万円以下が79%、ほぼ8割です。しかも、56.6%以上が4万円以下になっていることを考えると、現在は大学、短大など高等教育への進学が8割を超えていることからして、かなり低いとは感じます。
いくらで申し立てるか
上記は、調停でまとまった金額ですので、離婚調停で養育費や財産分与をいくらで請求するかは、本人の自由です。芸能人などの離婚では、高額な離婚給付や養育費が決まったなどとのニュースも聞きますが、これは参考にはなりません。
養育費も財産分与も、夫婦の資産や年収をベースにして計算されます。
従って、請求額は自由だから、相手に離婚の責任があるから、と言って、相手の全財産を財産分与としろ、とか、相手の給料の半分を養育費にしろ、と請求しても、認められませんし、調停もまとまりません。
また、調停員の心象もいい方向には向かない恐れもあります。一応、相当額と言って、これから裁判所で話し合いをしていくと記載する方法によることが多いでしょうか。
算出の目安
財産分与は、結婚してから夫婦で形成した財産のすべてを書き出してください。
これは預貯金だけでなく、保険、会社の財形貯蓄、車、不動産、などのすべてです。基本的には、これを2分の1ずつに分けていきます。
養育費については、裁判所が「養育費算定表」を公開していますので、夫婦それぞれの年収と、子どもの年齢を目安にして、算出してください。
例えば、こちらの
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
も目安になるでしょう。
従って、離婚調停で財産分与や養育費を請求する場合、少しでも多い金額をとれるに越したことはありませんが、妥当な金額から検討を初めてください。
なお、ご相談者の場合は、夫の浮気が原因ということですので、不貞慰謝料 として、請求するか、または、この相当額を、財産分与に入れることはできます。