財産分与は、詐害行為になりますか

ご相談内容

最近の業績不振から、会社をクビになりました。何度も再就職したのですが、長続きせず、複数のローン会社から借金をしてしまい、それが妻にバレて、もう離婚したいと言われました。

仕事のことだけでなく、アルコールばかり飲んでて真面目に仕事にいかないことも理由だと言われて、仕方なく、離婚を決めました。

一緒に暮らしていた自宅があったので、妻に、財産分与として渡して、自分が出て行ったのですが、私の債権者が来て、妻に自宅を渡せるお金があるなら、そこから借金を返せ、詐害行為で訴えると言ってきました。

わたしは、妻には申し訳ない気持ちがあるので、一緒にくらしてきた家だけは妻にあげたいと思っています。

詐害行為

金銭を借りた債務者が、借りたお金を返さずに、自分の財産を他人に贈与、売買して、財産をへらした場合、当事者が債権者の権利を害することを知っているときは、詐害行為にあたり、その贈与や売買が取り消されることもあります(民法424条)。

財産分与と詐害行為

財産分与には、清算、扶養、慰謝の要素が含まれているとされていますが、裁判所は、婚姻期間、収入、配偶者の貢献度、生活水準からみて、財産分与が不相応に過大であると言えない場合は、詐害行為にあたらないとしています(最判昭和58年12月19日民集37巻10号1533頁)。

財産分与が、不相当に過大である場合は、詐害行為にあたるとされて、その不相当に過大な金額部分について、取り消しの対象になります。

財産分与が、過大かどうか

従って、それまでの結婚生活からみて、ご相談者が妻に渡した財産分与としての家の価値が、あまりに過大でなければ、財産分与を取り消されることはありません。

また言うまでもありませんが、離婚そのものが偽装で、実際には夫婦関係が解消されていない場合は、詐害行為にあたります。

詐害行為にあたる程度の財産分与は財産隠しと見做されてしまうので、注意してください。

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