夫の定年退職を機に、自由に生きたい

ご相談内容

結婚28年経ちました。2人の子供も大学を卒業し、今は仕事を頑張っています。夫は、来年、勤続35年を迎えた会社を定年退職する予定です。

夫は、会社人間で、家庭や子育てに協力することもなく、夜は宴会や接待、土日はゴルフ三昧で、家庭は全て自分が守ってきました。夫とは、子供が産まれてからは、ほとんど性交渉もなく、外では何度か浮気もしてきたようですが、私は目をつぶって耐えてきました。

子供も一人立ちをし、ひたすら家族のためだけに尽くしてきた私も、そろそろ自分の人生を歩んでみたいと考えています。

夫は想像もしていないと思いますが、退職を機に離婚したいのですが、どのように切り出して、進めていったらよいでしょうか。

熟年離婚

人生の大半を、夫や子供のため、と頑張ってきた女性が、子供が巣立っていくと同時に、これからは自分の人生を生きてみたいと考えることも多いようです。

婚姻している間は、離婚しても生活に困る、子供を一人で育てていけないという金銭的不安が先にたち、夫への不満も耐えてきた女性は、老後の貯金もできて、夫が定年退職し退職金が入る時に、離婚願望が強くなります。

また、女性は、家庭を守る上で、子供の学校などを通じて地域社会との繋がりもあり、離婚して一人になっても、友人たちと趣味を楽しんでいけるという生活を描きやすいようです。

離婚の切り出し

よくあることですが、妻の方は、夫の退職を機に離婚しようと、長年虎視眈々と考えて準備しているのですが、一方、夫の方は、妻からの離婚の申し出に青天の霹靂状態です。

長年勤め上げた会社を辞めて、これから悠々自適に、趣味でも見つけて、妻と暮らしていくのだろうと漠然と思っていたのが、突然の出来事になります。

妻から、離婚を突然言い渡されて、ショックのあまり激昂したり、全く取り合わない人もいます。では、妻は、「残された人生を自分のために、生きたい」という理由は、離婚事由にあたるでしょうか。残念ながら、それだけでは、離婚事由にはあたりません。

では、なぜ離婚したいか、離婚してどうしていきたいか、を夫としっかり話し合う必要があります。ただし、話し合いをしたところで、妻のほうの気持ちは変わらないことも多くあるのは事実ですが。

離婚準備

離婚は、相手が同意すれば可能ですが、この場合夫がどれだけ納得するかです。夫は、「なぜ」から「今更」、そして世間体に変わることも多く、では本当に妻を愛しているかを問うてください

相手が納得していないのに、離婚を推し進めると一番トラブルになるのは、「財産分与」です。夫は、妻に一円も渡せんと主張しますが、夫婦の貢献程度は同等で、財産分与の取り分は50%ずつが基本です

このような場合は、自ら解決できないことが多いので、弁護士のような第三者を介する方がよいかもしれません。

別居

「これから一人で暮らしたい」だけでは、離婚事由にあたりませんが、「長期間の別居」は離婚事由にあたる可能性が高いです。

そのために、相手が離婚を承諾しないと想定される場合は、別居から切り出してみることもよいかもしれません。また、別居することで、お互いの大切さが見直されて、離婚を踏みとどまる可能性もあります。

熟年離婚

ご相談者様のような熟年離婚のケースは年々増えています。ただし、熟年離婚は協議離婚で離婚できない場合が多く、65歳以上の離婚の多くが家庭裁判所で争われています。

たとえ、子供が独立していても、上述したように、婚姻期間が長いため、離婚に伴う財産分与の額が大きくなること、複雑な家族事情がでてきて、離婚しにくくなることも理由でしょう。

熟年離婚は、自由に生きたい、だけでは離婚理由にあたりません。なぜそのように思ったかに立ち返り、どうしても離婚を望むなら、過去の配偶者の言動などをまとめて、以前から夫婦関係が破綻していたなどと主張していく必要がありますので、そのための証拠を準備しておくことも重要です。

別居に踏み出す時には、たとえば預貯金の通帳がどこの銀行にあるですとか、保険をどこと契約しているなどの証拠や情報は得ておいたほうが無難です。

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