「妻とは別れる」と嘘をつき続けた慰謝料

ご相談内容

褒められた話ではありませんが、私は、既婚者の男性と交際していました。

私は、独身で、相手の男性からは、妻には愛情もなく、家庭は崩壊しているので、近いうちに妻とは離婚するので、結婚前提で交際してほしいと言っていたために、その言葉を信じて、交際していました。

彼は、私には尽くしてくれて、生活費の支払いだけでなく、近くにマンションも借りてくれていたので、半同棲生活をしており、わたしは、彼に早く離婚して、わたしと婚姻してほしいと願っていましたが、妻と金銭的なトラブルになっているので、待ってくれと言うばかりでした。

そのうち、私も彼との間に子どもができて、彼も、認知してくれてたので、安心して、婚姻を待っていました。ところが、4年ほど経過して、彼は妻と離婚が成立したのですが、私と結婚するのをダラダラ伸ばしていて、最終的には、生活費も払ってくれなくなり、他の女性と交際を初めたと聞かされました。

彼との婚姻を信じて、子どもまで設けて、ずっと待っていたのに、ひどすぎます。不倫関係ではあったのですが、慰謝料請求はできますか。

離婚や不貞の慰謝料請求

離婚の慰謝料請求は、離婚原因を作った側か、または離婚にいたった責任の重い側が、相手に慰謝料を支払います。

これは、内縁関係や、交際関係であっても、相手に精神的苦痛による慰謝料請求は可能です。

しかし、その男女が不貞関係にあった場合は、その関係そのものが、公序良俗違反にあたり無効とする考え方もありますし、たとえ、慰謝料請求をしたとしても、それによって、相手の配偶者の知るところとなり、逆に慰謝料請求をされる恐れもあります。

妻とは別れるの嘘で慰謝料請求できるか

今回のご相談者様の件が、一概に、不貞関係にあるもの同士の慰謝料請求なので、公序良俗違反にあたらない可能性もあるという例として、東京地裁平成3年7月18日判決の事例があります。

これは、妻と離婚するという言葉をエサに、30年もわたって不貞関係を継続した女性から起こされた慰謝料請求事件です。

慰謝料10億円を請求

この事件は、23歳の女性が25歳年上の会社社長と不貞関係を継続し、社長には妻と子がいたにも関わらず、「妻とは離婚する、結婚してほしい」と言い続け、その甘い言葉を信じた女性は、男性が建てた家で同棲生活を初めました。

第一子も設けて、男性は認知もしましたが、結局同棲から23年たって、やっと妻と離婚しても、その後も、女性とは婚姻しないばかりか、家を出ていってしまい、女性と絶縁状態になったために、女性が男性を相手に10億円の慰謝料請求訴訟を起こしました。これは男性に資産が500億円あると推定し、この金額で請求をしました。

不当破棄として1000万円の慰謝料が認められる

女性からの10億円の慰謝料請求に対して、男性は、結婚の約束などしていない、内縁関係にもなかったと主張しましたが、実際に23年間、同じ家で暮らしていたことから、裁判所は、男性が重婚的内縁関係にあったことは事実であると認め、その上で、妻との家庭が完全に破綻していたことから、重婚的内縁関係にあっても、相当の保護を与えるべきとみとめました。

理由としては、2人の関係は30年にも及んでいること、関係破綻の原因は男性にあること、などから、男性に1000万円の慰謝料の支払いを命じました。

ご相談者様の場合は、交際関係が4年間と短いので、一概にこの判例にならうことはできませんが、子どもも設けて、婚姻と同様の同棲生活をしていたなどから、慰謝料請求の可能性も検討の余地があるかもしれません。

ご相談者様へ

まず、褒められた話ではありませんなんて言わなくて大丈夫です。既婚者の男性と交際して、独身の一番良い時間を、好きな人と一緒になれない苦しみをご存知かと存じます。

金銭的なトラブルを抱えながら認知をした彼は素敵だと確かに思います。しかし、結婚をダラダラ伸ばしているということは、何かがあると思います。。

やっぱり生活費も支払わなくなったとのことであれば、慰謝料請求や生活費の請求はもちろん可能でしょう。

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