不倫と謝罪

ご相談内容

不倫しました。相手が既婚者であるとわかっていたことは認めていますし、本当は謝りたかったのですが、ぐいぐい男性側から誘われて、仕事の上司という関係もあり、職場の関係を悪くできないので、断り切れませんでした。

今回、不倫慰謝料請求と同時に、奥様から謝罪を求められています。悪いのは配偶者の方だと思いますが、私は謝らないといけないのでしょうか

謝罪を「する」 作為

裁判では、謝罪したことは、どう扱われれるのでしょうか。

謝罪をしたことをもって、減額要素とする裁判例は実は多く見受けられます。たとえば、東京地方裁判所において出された平成24年3月29日の判決は、

被告は訴訟外配偶者の同意を得ないで性行為をしたとの事実関係は争うものの、被告の主張する事実関係を前提としても、原告との関係では不貞行為に当たることは当初から自認し、謝罪の意思を表明している

と指摘し、慰謝料減額の一要素として位置付けました。

謝罪を「しない」 不作為

不倫の慰謝料請求をされているのに、明確に別れる意思はないと表明をしたとしたら、どうでしょうか。

これは、どうみても「謝罪」とは程遠い位置にいることを意味します。謝罪がない、不作為として処理されてしまう裁判例が散見されます。

被告は、不貞行為の存在を否定するため、不自然な弁解を弄しており原告に対する謝意を表していない(東京地方裁判所において平成22年9月13日に出された判決)

訴訟外配偶者に原告との婚姻関係についていまだ原告に対して謝罪をしていないことを考慮すると(東京地方裁判所において平成20年10月8日に出された判決)

被告は、原告に対して、謝罪することはなく、原告からのインターネット上の書き込みの削除の要望にも対応せず・・(東京地方裁判所において平成27年7月16日に出された判決)

謝罪の要望があって、それに応じていないのではなくて、謝罪自体を積極的にしていないことが不利益に扱われています。

今回のご相談者様のお気持ちはわかりますが、不倫慰謝料を請求しているのは、妻との関係であり、ここにおいては謝罪は、重要でしょう。謝罪をすることで、その後の態度の誠実性を示せることもあります。

(弁護士 ばんぷうより抜粋)

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