事実婚(内縁関係)の法的効果

ご相談内容

再婚同士で、一緒にくらすことになりました。お互い仕事もしていて、いまさら姓も変更したくないし、戸籍に縛られたくないという理由から、事実婚を選びます。

最近は、事実婚でも、一緒に生活を共にするので、婚姻費用の負担義務があったり、法律婚と同じだと聞いています。

お互い思いやっているので、事実婚による生活には不安はないのですが、この先何か問題が生じたときに、対応できるように、事実婚と法律婚による法的効果の違いを教えてください。

事実婚とは

最近は、若者だけでなく、年配者からも、事実婚が増えてきています。戸籍にとらわれずに、自由な選択が認められれてきたようです。

相談者様の指摘のとおり、事実婚という関係になると、法律婚と同じく婚姻費用の分担が生じます。収入のある夫と妻であれば、夫は妻の扶養義務があります。また、夫の稼業を妻が支えたり、二人が共同で作り上げた財産は、たとえ夫だけの名義でも、共有財産として評価されます。したがって、事実婚を解消する場合は、財産分与の請求もできます。

他にも、事実婚の関係が発生してからは、貞操義務も生じます。したがって、事実婚の解消が相手が、他の男性(女性)との性的関係にある場合は、事実婚を破綻させて方に対して、慰謝料請求もできます。

事実婚と法律婚の違い

事実婚で、法律婚と違って法的効果が発生しないものは
- 親族関係はない(民法725条)
- 同じ性を称しない(民法750条)
- 婚姻により、未成年者が成年者として扱われる成年擬制は適用されない(民法753条)
- 夫婦間契約は取り消しできるという、取消権はない(民法754条)
- 2人の子供は、嫡出子にならない(民法772条)
- 配偶者相続権はない(民法889条)

逆に事実婚でも、法律婚と同じ法的効果が発生するものは
- 婚姻費用の分担義務(民法760条)
- 日常家事債務の連帯責任(民法761条)
- 夫婦財産制(民法762条)
- 関係の解消に際して財産分与を請求できる(民法768条)
- 貞操義務(民法770条1項1号)
- 事実婚破綻時の慰謝料支払い義務(民法709条)

事実婚は、人さまざまです。法的効果があるものとないものがありますが、それがそのまま適用されるかどうかも、当事者同士の考えによりますので、個別な判断が必要でしょう。

なお、実際に事実婚が内縁として、婚姻に準ずるほど強力な保護に値すると考えてもらえるかどうかの判断は、実質的に踏み込んで生活状況をみられますから、日常生活の痕跡は大切に保管しておくべきでしょう。

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