夫からの暴力により離婚しました。DV防止法により私への接近は禁止されていますが、子供に対してではありませんが、怖いので子供に会わせたくありません。

ご相談内容

夫から私(妻)に対しての暴力が原因で、1年前に協議離婚しました。

離婚当時の暴力がひどかったため、夫から一時的に逃げて、接近禁止命令を出してもらいました。

協議離婚時の取り決めでは、7歳の子供については、私が親権者になり、夫からの養育費ももらいながら育てています。

夫は、子供のことは可愛がっていたので、当時は、月一回の面会交流を認める合意書を取り交わしています。

最近、面会交流に子供が行きたがらないので、理由を聞くと、夫が強く手を引っ張ったなどと聞いて、子供への暴力が出るのではと怖くてたまりません

子供への暴力の危険があることを理由に、面会交流を取りやめることはできないでしょうか

面会交流

面会交流とは、離婚して会えなくなった親である非監護者と子供が会うことにより、子供の健全な育成を助けるものであるという考えに基づいています。

つまり、親のためではなく、子供にとって有益であるかどうかが重要です。

子供にとって、面会交流を実施することにより、有害であるという明確な理由が無いかぎり、面会交流は積極的に調整をするという考えです。

面会交流の禁止・制限事由

子供の連れ去りのおそれ

非監護者が子供と面会交流した際に、そのまま子供を自宅に連れ帰るなど、子供の連れ去りのおそれがあるバイは、面会交流を禁止または制限する事由になります。

なぜなら、子供が毎日育っている環境を突然変えることは、子供にとって精神的なダメージを与える可能性が高いからです。

ただ、一度連れ去りがあったからといって、今後一切面会交流を禁止するということにはなりません。

今後連れ去りをしないと約束をする、ベビーシッターなど第三者や監護者の立ち会いのもと面会交流を実施する、などにより、連れ去りが防止できる環境が作れれば、面会交流を継続するという流れになります。

子供への虐待のおそれ

非監護者が、かつて子供に対して暴力を振るっていた、子供が非監護者の暴力を恐れている、などの事実がある場合、面会交流を禁止または制限する事由になります。

ただし、今回のご相談者様のように、暴力をふるったっかもしれない、今後暴力を振るうおそれがある、という場合は、その事実について争われます

こうしたおそれがある場合には、その事実が見えた時点で、児童相談所や家庭支援センターに相談する、または面会交流の方法をベビーシッターなど第三者や監護者の立ち会いのもと面会交流を実施する、などという対策のもと、暴力を振るった事実を明確にしなければなりません。

非監護者から監護者に対する暴力

今回のご相談者様の場合も同じですが、過去に元夫から暴力を受けていた事実があり、それを子供が見ている場合の影響は大きいものです。

児童虐待防止法2条4号は、児童が、同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者の身体に対する不法な攻撃であって生命または身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう)を与えることを当該児童に対する心理的虐待と定義しています。

DVの内容や子供への精神的影響によっては、面会交流を禁止または制限する事由にあたる場合もあります。

ただし、子供の年齢、成長、親族の協力、第三者機関の協力などにより、監護者が非監護者に会うことなく面会できる状況を作りだせて、子供への影響がなければ、面会交流の調整はすすめるよう検討されることが多いです。

子供の拒絶

面会交流は、子供が成長していく過程で長い期間で実施されます。

子供は成長の段階において、面会交流を拒否することもあります。そ

の場合は、そのまま面会交流を中止するのではなく、子供に対して、お互いの両親への発言、子供との関係、年齢、子供の発達段階、学校や友人との関係、心身の状況、拒否する背景や事情を聞いた上で、面会の可否が検討されます。

実際は、一旦面会交流を拒否すると、なかなか気持ちを変えるのは難しいかもしれません。

その時は、手紙や写真などのやり取りに変更して、時期を経ることによって、子供の気持ちも変わってきます。最近は、コロナを理由として、間接的な交流にとどめおいているケースも散見されています。

さいごに

監護者と非監護者の関係や、現在の状況や、子供との関係によって、面会交流は様々です。基本は、子供の年齢や発達の程度に応じて、子供の福祉のためになる面会交流を実施していくことになります。

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