夫と離婚した時に、マンションをもらいましたが、その後、夫が夫婦間の贈与は無効だと言い出しました

ご相談内容

昨年、夫の突然の浮気が原因で、離婚しました。

当時、夫の一方的な原因で離婚に至ることになったため、悩んだ末に、浮気相手からの慰謝料と夫から財産分与としてお金と、結婚時から一緒に住んでいたマンションもそのまま譲り受けることを条件に、離婚に応じました。夫は、離婚協議中から浮気相手の家で一緒に生活を始めていたので、問題はありませんでした。

今年になって、前夫の仕事もうまくいかなくなったようで、お金に困っているのか、離婚時に渡したマンションは、夫婦間の贈与であり、取り消すと言い出しました。マンションを出て行かなければならないのでしょうか。

返す必要はありません

離婚時には、夫婦は婚姻期間中にお互い協力して築いてきた財産について、分割します。

一般的には、夫婦で2分の1ずつ分割しますが、相談者様は、有責配偶者である夫からの離婚請求を受け入れて、離婚に至りました。不貞相手からの慰謝料も受け取っていますが、財産分与としても、一方的に離婚事由を作った夫から慰謝料の意味もこめて、多めに財産を分けることもあります

妻も大きな不動産を譲り受けるからこそ、離婚後の生活も保証され、離婚に応じています。つまり、今回の離婚とマンションを譲り受けたことは、不可分の関係にあり、離婚の際の財産分与として考えられます。

夫婦間の贈与

確かに、前夫の言うように、夫婦間の贈与は取り消すことができると民法は定めています(民法754条)。

しかし、これは”夫婦間”のことであり、ご相談者さまは、すでに前夫が浮気をしたことにより、離婚協議に至っています。マンションを譲る時点では、すでに夫婦関係は破綻していると考えられ、離婚前であっても、マンションを譲った行為は、贈与にはあたりません。

したがって、民法の取消し取消規定は適用されず、マンションは残分与として譲り受けたものとして、返す必要はありません。

解決のために

そもそも夫の突然の浮気が原因であれば、元旦那様は有責配偶者としての立場にあります。

こう考えていくと実は、不貞相手からの慰謝料と夫から財産分与としてお金と、結婚時から一緒に住んでいたマンションもそのまま譲り受けることを条件にしたことは、実は先方が離婚を求めても離婚できなかった可能性さえある状況なのです。そもそも夫は、離婚協議中から浮気相手の家で一緒に生活を始めていたので、問題はなかったとのことであれば、むしろ正当な財産分与を受けたとみることもできるでしょう。

そんな段階で、今年になって、前夫の仕事もうまくいかなくなったからといって、財産分与で取得した財産が急に贈与に代わることはありません

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