夫の暴力に耐えきれず、財産はいらないと合意書にサインして急いで離婚してしまいました。訂正できますか?

ご相談内容

結婚して半年くらいから、夫が、仕事のストレスからか、私に暴言を吐いたり、酷い時には物を投げつけられたこともありました。子供ができれば変わるだろうと思い、3年間は我慢して生活していたのですが、子供もできなかったので、耐えられず離婚したいと申し出ました。

夫はすんなりと、じゃあ、別れてもいいけど、財産は何も渡さないという約束をしろと、「今後一切財産分与も慰謝料も請求しません」と書いた紙にサインさせられました。1日も早く離婚できるならと、すぐサインして、その後離婚届を出すことができて無事離婚が成立しました。

離婚後落ち着いた頃に、周りの友人から、家庭内ハラスメントを受けていたなら、慰謝料を請求もできるし、一緒に生活して築いた財産もあるのだから、財産分与を請求できたのに、もったいないと言われました。

今からでも、お金を請求したいのですが、できますか?

原則は難しい

通常は、離婚時に請求しないまま離婚してしまった場合、離婚後でも、慰謝料や財産分与の請求は可能です。時効期間は2年間と短いですが、一応可能です。

今回ご相談者さまの場合は、「今後一切財産分与も慰謝料も請求しません」と書いた紙に署名してしまっています。署名した紙が、たとえメモ書きのようなものであっても、合意書の効力はあります。裁判した場合、この合意書があるために請求は難しくなると思われます。

ただし、この合意書を書いた背景として、無理強いされた、暴力が怖くて署名してしまったなどの事情がある場合には、合意書の効力について改めて争うことはできます。

時効があります

離婚した一心で、将来自分に不利な条件に合意してしまうことはよくありますし、協議離婚する場合、メモ書きへのサインや念書だったら、正式なものではないから大丈夫だろうと、意味がわからずサインしてしまうこともあります。

離婚してしまったら、他人です。離婚しようとする相手からの文書を提示された場合、まずは一旦持ち帰って、弁護士等に相談するように必ずしてください。

なお、離婚後、財産分与は2年、慰謝料は3年の時効がありますので、注意してください。

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