夫の経営する工場を財産分与に入れられますか?

ご相談内容

夫と離婚協議中で、財産分与の計算をしています。

夫は、小さいながらも工場のある会社を経営しており、二人の財産と言ったら、その工場くらいしかありません。夫と離婚するにあたって、私も夫が会社を経営するために、家庭を支えてきました。

この会社を財産分与の計算に入れて、二人で分けられませんか。

法人格の存在する会社

法人の財産は、法人と夫婦個人が別人格である以上、財産分与の対象財産にはなりません。これは大原則になってしまいます。

今回のご相談者様の場合は、残念ながら、会社が株式会社である以上、会社そのものを分与の対象にはできません。

しかし、あきらめる必要はないのです。工夫をこらす、すなわち、たとえば、本件の場合夫が所有している株式については、分与対象財産になります。

夫婦で形成したことを証明できるか?

次に、ある問題があります。

確かに、夫が会社を経営していくにあたって、妻が夫を支えてきたことは事実でしょう

夫婦の協力によって、会社が形成されたという、実質的共有財産を認定できる場合は、これを計算に入れられる余地があると言われていますが、実務上は、これを証明や評価が難しいことから、法人所有の財産を分与対象財産とする例はほとんど見られません

所有している株式

どちらかが法人の株式を保有している場合には、夫婦の個人財産である当該株式などを分与対象財産として計算できます。

株式の評価については、譲渡制限のある株式ついて、相続問題により小規模事業が継続できなくなることを回避するために、会社法で相続人に対する株式売渡請求権の制度が導入され(会社法176条)、当事者間で売買価格について合意ができない場合には、裁判所が売買価格を決定する制度が用意されている(会社法177条2項)、小規模法人について株式の評価方法が確立されてきています。

財産分与について使われる価額算定の方法としては、「財産評価基本通達」にもとづき価額を算定する方法があります。

株式の評価が高い場合や、当事者間で株式価額の算定方法で争いがある場合は、会計士などの専門家による鑑定を行うこともできます。

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