突然、妻からDVで離婚だと言われました

ご相談内容

結婚6年目の男性です。子供一人で夫婦生活は問題ないと思っていましたが、ある日仕事から帰宅すると、妻が子供を連れて、家出していました。

机の上に、これ以上の暴力に耐えられないので、別居すること,離婚してほしい手紙があり、驚きました。妻とは、時々喧嘩することはありましたが、手をあげたことはありません。

確かに、妻があまりにひどい暴言を吐いた時に、携帯を壁に投げたことはありますが、その後は仲直りをして生活をしていました。

その後、妻の代理人弁護士から、DVは離婚原因になると離婚調停を起こされてしまいました。わたしは、妻に暴力を振るっていないので、これは離婚原因にはあたらないと思います。

DVは離婚事由にあたる

DV(ドメスティック・バイオレンス)が認定されると、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、離婚原因となり、離婚請求は認められます。DVによる離婚請求は、夫婦の別居期間が短くても、許容されます。

DV防止法

もし、夫婦のどちらかが、暴力を受けていた場合、離婚に先立ち、DV防止法に基づく保護命令の申立をすることができます

暴力を受けた場合、警察署や役場の窓口に相談に行った場合、警察署などでは、保護命令の申立をするように言われますので、裁判所に申立ができます。

保護命令の申立てがあると、裁判所は、原則として期日を指定して、暴力をふるった配偶者に連絡をします。

DVの保護命令は、暴力を受けている者にとって、生命に関わる重要な自体なので、速やかに審理されます。申立から期日までも1週間程度で決まり、期日の延長は認められません。

DVの保護命令発令のためには、
1.配偶者からの身体に対する暴力を受けた者又は配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた者が
2.配偶者からのさらなる身体に対する暴力により
3.その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと
そして、被害者が、これらの事実証明しなければなりません
。例えば、医師の診断書や、身体に暴力を受けたアザの写真、そして被害者の陳述書で、DVの事実認定がされます。

婚姻生活でのDV

長い結婚生活において、妻から離婚請求の原因として、夫の暴力、DVが主張されることは少なくありません。

現実に暴力を振るっていた場合、離婚請求が認められるだけでなく、慰謝料請求の対象ともなりますし、子供がいる場合は、面会交流の制限の可能性もあります。

今回のご相談者様のように、夫は何も暴力を振るっていないのに、妻がDVを主張している場合もあります

妻の言うDVは、夫が大声で怒鳴ったり、高圧的な態度をとったり、言葉の暴力など、パワーハラスメント的な言動を指していることも多くあります。

配偶者間でも、同じくパワハラは成立するのです。

妻の主張を丁寧に聞くこと

今回のご相談者様のように、手は上げてないが、物を投げた行為があるということですと、これが、DVにあたらないことを、一つひとつ反論していくことが大事です。

上記の「DV防止法」は、「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行動」と定義しています。物を投げた時の状況や、類似の行動が他になかったのか、などを、妻と夫から話を聞く必要があります。

注意すべき点は、妻が先に、DV防止法による保護命令申立をして、保護命令が一度出てしまうと、これを覆滅するのはかなり困難ですので、妻の主張する内容が過大である場合は、丁寧に反論し、保護命令が出ないようにすることも重要です。

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