子供が私立学校へ通います。養育費は増額できますか

ご相談内容

夫と離婚します。

来年4月から私立中学に入学予定の長男がいて、大学まである私立の一貫校なので、大学までずっと私立学校の学費がかかります

通常の養育費算定表に基づく養育費では、全然たりません

私立学校でかかる、入学金、授業料、設備費、海外への修学旅行、パソコンなどの雑費が、毎年数百万以上かかる予定ですが、養育費に追加して、どのように加算計算したらよいでしょうか。

私立学費と養育費

最近では、子供の進学率もあがり、また中学から私立学校へ進学するケースも多くあります。

標準の養育費を算定する算定方式では、公立学校の教育費を前提としているため、私立学校の教育費には足りませんん。

そこで、私立学校と公立学校の教育費の差額を計算して、養育費を支払う義務者が、通常の養育費にプラスして、どのくらい私立学校の学費を支払うかを計算する必要があります。

私立学校の経費

ここでいう、私立学校の経費とは、公立学校との差額を言いますので、例えば携帯の通信費や、食費、部活代などの公立学校でも必要とされる経費は除きます。

交通費は、遠方の私立学校であれば、考慮してもよいかもしれません。

ひとつの計算式

私立学校にかかる経費の加算については、いくつかの手法があります。

1 生活費指数のうち、教育費の占める割合を用いる方法

2 平均収入に対する公立学校教育相当額を控除する方法

3 私学学費を控除した修正基礎収入で学費を控除した子の生活費指数による子の生活費を求めて、それを修正基礎収入比で按分する方法
があります。

ここでは、従来から使われている1の手法を紹介します。

生活費指数による割合

子の生活費指数は、0歳から14歳までには62、15歳からは85としています。これは、成人が必要とする生活費を100としたときの、子供の生活費にかかる割合を示したものです。

この生活費指数のうち、教育費に占める割合は、62の場合は11、85の場合は25とされています。

従って、今回のご相談者の場合は、子供が中学入学とのことなので、62の生活費指数のうち、教育費は11としますので、子供の生活費を算出して、そのうちの62分の11が、公立学校の教育費となります。

その教育費と私立学校で係る経費の差分を出して、その差分を、父と母の収入割合(基礎収入割合)で按分し、父の差分の支払い額を計算します。

その結果、通常の(公立学校での)養育費と、追加で私立学校での教育費を足して、それを養育費とします。

具体的計算

例として、義務者(養育費を支払う側、ご相談者の場合は父親)の基礎収入を400万円、権利者(養育費をもらう側、ご相談者)の基礎収入を100万円とします。

また、私立学校の年間経費を60万円と仮定します。

その場合、
- 子の生活費の額=義務者の基礎収入✕子の生活費指数÷義務者と子の生活費指数 
つまり、400✕62÷(100+62)=151.1万円です。

- 子の生活費のうち、公立学校の学費相当分は、62のうち11ですので、
151.1万円✕11÷62=27.1万円です。

- 私立学校の学費である60万円から、この公立学校の学費相当分を引くと、32.8万円となります。
これが私立学校で必要とされる金額の加算分です。

- 義務者は、このうち負担する額は、32.8万円✕400÷(400+100)=26.2万円です。

- もともと、義務者が支払う養育費は、153.1万円✕400÷(400+100)=122.5万円ですので、

- 結果として、私立学校の学費負担額を足して、122.5万円+26.2万円=148.7万円、月額にして、12.4万円と計算されます。

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