子どもに会えないのに、養育費を支払うのか

ご相談内容

妻と離婚して6年経ちました。当時小学生だった子どもも、今は高校生です。
離婚は、協議離婚で、お互い話し合って、妻が子どもの親権者になり、私は、算定表から出した適正な養育費を支払い、最低月1回は子どもに会うという約束を取り交わしました。

特に、書面を残したわけではありませんでしたが、毎月養育費はきちんと支払っています。

離婚した当初は、子どもに月1回は会って、お互い成長や交流を深めていたのですが、ここ3年くらいは、学校の部活動や塾がある、体調がよくない、試験の前で忙しいなどと、なにかと理由をつけて、子どもに合わせてくれません。子どもとラインでつながってはいるのですが、私がメッセージしても、返事もありません。

無理強いして面会してもよくないと思って、元妻の言う通りにして、私は文句も言わず、子どもとは会っていないのですが、悪く言うと、生死もわからないような子どもに、毎月養育費を支払っていることが、不自然に思えてきました。

子どもに全く会えないのに、養育費だけ払い続ける必要があるのでしょうか。

養育費と面会交流

はじめに、養育費と面会交流は、別のものです。

養育費は、親として子どもを育てるために必要なお金であり、面会交流は、子の福祉のために実施されるものであり、性質が異なるものです。

したがって、面会交流ができないからと言って、養育費を減額したり、ストップしたりはできません。

もし、離婚時に、お互いの私的な文書にて、「養育費を支払わなければ、面会交流をさせない」という文章があったとしても、養育費と面会交流の意義に照らせば、無効な取り決めと考えられます。

ご相談者様のように、全く会えない子どもの養育費を支払うことに抵抗感がある方も多いのですが、父親が、子どもにあわせないから子どもの生活費を止めた場合、父親の給与に養育費支払いの強制執行がなされる恐れもあります。

離婚時の合意

最近、離婚調停にて、以下のような調停条項を入れた稀な事例もあります。

福岡家審平成26年12月4日に、「申立人(父親)は、相手方(母親)に対して、長男の養育費として、」いくら、どこの口座に「振り込む方式で支払う」「相手方は、理由の如何を問わず、面会交流ができなかった場合」「面会交流が実現できなかった月における養育費の支払いを免除する」という条項を入れました。

ただし、この場合は、現実には、この面会交流は実現しませんでした。面会交流と養育費の履行を連動させることは、稀ですが、このような条項を入れることもあるようです。

面会を実現させる

子どもの面会交流が実現しないからと言って、父親は養育費の支払いをストップさせるのではなくて、面会交流を正しく実現させる方法を検討するべきです。

当事者間の話し合いで、面会交流が実現しない場合は、面会交流の調停、審判、履行勧告を通じて、子どもの成長のための面会交流ができるように話し合うことが先決です。

養育費の支払いに納得できない

また、どうしても養育費の支払いに納得できない、または生活状況が変化して、養育費を減額したいなどの場合は、養育費減額調停の申立を行うことができます。

調停での話し合いを通じて、子どもの生活状況を明らかにして、その情報をもとに、面会交流ができるように話し合いをしていく方法もありえます。

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