年老いた夫との夜の生活が苦痛です

ご相談内容

夫と26歳で結婚し、今は子供も成長して家を出て、夫婦2人で生活しています。夫は、現在67歳で、すでに定年退職しており、趣味や友人とのつながりを大事にして、穏やかに生活しています。

私は、63歳ですが、パートをしてて特に定年もないので、働ける限りはあと数年仕事は続けようと思っています。傍目から見たら、仲のよい夫婦にみえており、周囲からうらやましがられていますが、

問題は、私が、ここ数年間、夫が月に数回、夜性交渉を求めてくるのが嫌でたまりません。暴力もなく、優しい夫なのですが、どうしても、年老いた体に触られるのが辛く、毛の生えた背中、胸のほくろ、腹や尻のたるみ、少なくなった髪を考えると、気持ち悪くて、愛情がなくなったわけではないのですが、生理的嫌悪感が出てしまいます。夜になると、並んだベットに寝ると思うだけで、気持ちが塞いで、最近は鬱気味です。

こんなことは、誰にも相談できないし、夫との性交渉が気持ち悪いという理由で離婚できるのでしょうか。

法律上の離婚事由

民法770条には、
「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる」とあります。

1.配偶者に不貞な行為があったとき

2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき


3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき


4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき


5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき


果たして本件は、離婚を適法にできるのでしょうか。

合意できれば離婚に理由はいらない

上記の民法770条では、1から5の理由をさだめていますが、これは離婚裁判になったときです。

お互いに合意すれば、理由はなんでもよく、理由などなくても、役所の窓口では、離婚届けを受理してくれます。民法763条には、「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」とありますので、話し合ってお互い納得して離婚するのに、理由は不要です。

未成年の子供がいる場合は、離婚について話し合いが終わっても、どちらかが親権者になるかの話し合いがつかなければ、離婚することはできませんが、それでも離婚のための理由が必要なわけではありません。

離婚した自分をよく考える

従って、「離婚したい」という気持ちが浮かんだときは、離婚の理由は一旦考えずに、離婚して生活できるのか、相手は同意してくれるのか、時期はいつなのか、を思い描いてみましょう。

また、ご相談者様のように、夫との性交渉がストレスになり、精神状態にも問題がでてきているようだと、その先体の健康被害にもつながる恐れがあります。

耐え続けて生活していても、心身を壊してしまっては、意味がありません。これらが、婚姻を継続しがたい重大な事由となるかは、実は法律上も大きい争点になります。

弁護士としては、まずは、夫に相談してみることは第一歩ですが、どうしてもそれができない場合は、なにか理由をつけて(実家に介護に変える、子供に相談して)別居から初めてみるのも、解決になるかもしれません。

離れて生活することで、夫のよい点が見直せるかもしれませんし、または、本当に別居して体が楽になり、このまま別居を提案する、またはいづれは離婚する気持ちが固まる、夫に夜の生活が不可能なことを伝えられる状態になるかもしれません。

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