彼が結婚の約束をしていたのに、他の女性と結婚してしまいました。婚約破棄で訴えたいです

ご相談内容

SNSで知り合った彼と、何度かデートをして、結婚の約束をしました。お互いの友人にも、結婚前提で紹介しています。
勤務している会社にも、寿退社すると宣言して、退職届も出してしまいました。

突然彼から連絡がきて、他の女性を妊娠させてしまい、結婚することになった。実際、わたしとは婚約はしていない、と一方的に言われてました。仕事も失い、友人の手前、精神的に傷ついています。慰謝料を請求できますか。

正当な理由ない婚約破棄は違法行為です

婚約は、お互いの親に紹介したり、婚約指輪を贈っていなくても、お互いが約束してれば、婚約は成立します。

婚約すれば、お互いに将来結婚にむけて努力する義務を負いますが、それを履行できなければ、違法行為となり、損害賠償の対象になります。

問題は、実際の「婚約=婚姻予約」ないし「婚姻への期待」が成立していたのかと、破棄に対して正当な理由があったといえるのかが主に争点になります。

婚約破棄の慰謝料

不当に破棄された婚約に対して、
- 物的損害
- 精神的損害
- 将来得べかりし利益
の損害賠償が考えられます。

物的損害

結婚に向けて準備した金額を算定します。
例えば、婚約指輪、結納金、結婚式や式場の予約キャンセル料、新居の準備金、などです。

これらを具体的に金額に置き換えて、損害額とします。

精神的損害

結婚すると期待していた気持ちに対して、侵害された精神的苦痛への慰謝料です。

ただ、期待値への損害ですので、法的な離婚の慰謝料より低くなるのが一般的です。

将来得られたかもしれない利益の損害

今回のご相談のように、結婚前提で、退職届を出してしまった場合は、損害賠償の対象として、得べかりし利益、つまり得られたかもしれない利益があります。

この場合、まず退職が、女性本人だけの意思で行った場合は、自己責任であり、請求が認められる可能性が低いです。婚約者と相談の上、退職を決めた場合は、どのくらい婚約者の意思が反映されたかが議論になります。

また、今回は退職届を出しただけで、また退職していない場合、会社に話して撤回することもできることになります。この場合も認められません。

退職届が受理されていて、退職してしまった場合、再就職の可能性、期間、その間の収入を勘案して計算できますが、一概に算定できません。つまり、本当にずっと働いているのか、または、他の理由で結局退職しているのかもしれず、退職は、基本自分の意思や価値観で選択されることを考えると、不利益は自分で追うものという考えもあります。

従って、ここは退職に至るまでの経緯をよく精査して、計算する必要があります。

婚約破棄の事実の証明

また、今回は相手が婚約していない、と主張していることから、婚約してたことを証明する必要があります。

紹介した友人との会話や、会社での話など、利害関係のない人たちに婚約者として紹介した、婚約指輪がある、結婚の約束をしたSNSがある、など、婚約を認識していたことがわかるような事実を精査して証明しましょう。

もちろん、実際の知り合ったきっかけがSNSなのですから、デートをして、結婚の約束をしたことも、もともと赤の他人の関係から始まっていますから、人間関係が希薄であることは事実でしょう。

しかし、お互いの友人にも、結婚前提で紹介し、勤務している会社にも、寿退社すると宣言して、退職届も出してしまい、財産的基盤が喪失していることからすると、十分慰謝料請求できる余地はあるのではないでしょうか。

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