ご相談内容
結婚12年目の男性です。結婚当初は、妻と仲良く暮らしていたのですが、子供が産まれたころから、妻の性格が豹変し、私が家事に協力しないとか子供の面倒をみないと言っては、炊事洗濯もやらなくなりました。
注意すると、物を投げつけたり、叫んで殴りかかってきます。私は、子供は可愛いので、土日には子供を外へ連れ出して一緒に遊ぶようにしていますが、子供も中学生になり、両親の仲がよくないことも理解してきています。
これ以上、ヒステリックな妻と生活することに耐えらないと離婚を考えていたと矢先に、アプリで知り合った女性と親しくなり、この女性と再婚して、生活をやり直したい気持ちでいっぱいです。
妻に離婚をほのめかしたところ、女がいるんだろうと罵倒され、絶対離婚しないと宣言されました。
私は、確かに有責配偶者ですが、このまま離婚が認められないと思うと、どうしていいかわかりません。
有責配偶者からの離婚請求
原則は、夫婦関係を破綻させた原因を作った責任のある配偶者から、離婚訴訟を起こすことはできません。
相手が離婚に同意する場合は、離婚できますが、相手が考えを変えない限り夫婦の離婚は不可能です。
従来、婚姻の破綻は、「もっぱらまたは主として」原因を与えた者からは離婚できないとし、これを「有責配偶者の離婚請求拒否の法理」としていましたが、夫婦仲において一方が100パーセント悪いというケースは考えにくいものです。
そして、1987年の判例変更により、有責配偶者からの離婚請求も一定の条件のもとに認められることになりました。
例えば、長期間にわたって別居している、未成年者のこどもがいない、暴力などのハラスメント言動を受けている、離婚によって相手が精神的・社会的に過酷な状況にいかれない場合などです。
なぜ夫婦関係が破綻に至ったか
有責配偶者から離婚請求されても、他方の配偶者は不貞のある側に責任があるとして、一方的に避難しがちです。
しかし、現実には、他の人に気持ちが移るのも仕方ないと誰もが考えるような行動が、不貞以前からあることも多くあります。
ご相談者様の場合も、浮気をするかなり前から、妻のモラハラに悩んで生活をしてきました。
離婚請求の時にも、なぜ妻への愛情が薄れていたのか、なぜ夫婦生活が破綻していたかなどを、十分に主張していくことにより、離婚請求が認められる可能性はあります。
ここでのポイントは、破綻をした結果を主張することに意味があるのではなくて、何が原因なのかを明確に特定していくことです。
離婚請求にあたって
有責配偶者からの離婚請求は簡単ではありません。
裁判所は、どうしても不貞の事実を重くみがちです。そのためには、不貞以前から婚姻関係が破綻していた証拠、例えば暴力をうけていたら診断書、暴言の録音、などを残しておくのもよいでしょう。
また、別居期間をある程度重ねて、別居の事実を積み重なる、子供が大きくなるのを待つ、なども有効でしょう。
離婚請求も、訴訟を提起して、長期間お互いのやりとりが続くことにより、相手の離婚しないという気持ちも薄らぐこともありますし、または、慰謝料や財産分与を多めに支払うことで、早期に解決をする方向で離婚に向けて動き出すことも多くあります。