熟年離婚 - 性格の不一致と愛情喪失

ご相談内容

結婚して、25年経ち、2人の子供も独立しました。
夫の退職を機会に、わがままで自分勝手な夫と、離婚したいとおもいます。子育て中は、いろいろ耐えてきましたが、この先2人で老後を過ごすことが耐えられません。
この離婚請求は認められますか?

性格の不一致と愛情喪失

最近多いご相談です。とくに問題があるわけでもなく、とくに嫌だという気持ちはないものの、お子さんが大きくなり独立すると、離婚を考えるご相談は多い印象です。

ただし、性格の不一致や愛情喪失での離婚請求は、そのことのみで離婚が認められるわけではありません。性格不一致の程度や愛情喪失の原因などを見極め、夫婦関係が修復不可能なまでに破綻しているかどうか、慎重に検討されます。

裁判例も、性格の不一致や愛情喪失が原因となって、どんなに努力しても夫婦関係が破綻してて、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかを判断します。専門的には、民法770条1項5号該当事由の判断です。

この離婚の破綻においては、双方の有責性の有無とその程度が判断されています。婚姻関係破綻の責任のある当事者は、これをもって婚姻を継続し難い重大な事由として、離婚を請求することができません。

熟年夫婦の離婚

熟年夫婦の離婚は、婚姻期間が長く、とりわけ財産関係で争いになることが多いのです。
- 共有財産が多額な場合が多い
- 退職金、年金などを考慮する必要がある
- 離婚後の再就職が難しいこと
など、検討項目が多くなり、夫婦双方の生活は経済的に保証されるるように適切な解決が必要です。

裁判所も、熟年夫婦の離婚につては、それらの事情などを考慮して、慎重に判断しています。とりわけ退職慰労金取得間際の離婚が極めて多いように感じます。

長年、一般的な生活をしている夫の定年後に、妻が離婚を求めましたが、夫は多少思いやりに欠けていても、婚姻関係破綻させるような言動がなかったこと、継続を望んでいることから、離婚は認めませんでした。

また、80歳に達した夫が病気がちになり、生活力を失った途端、妻が夫を軽率に扱い、夫の心を傷つける行動に出ていることから、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、離婚を認めました。

熟年夫婦の離婚は、離婚原因・婚姻継続の相当性の有無について、十分内容を検討して、離婚請求することが重要です。

なお、離婚を成立させるまでの間、別居状態にある場合には婚姻費用と言って、生活費の支払い請求をすることがほとんどですが、婚姻費用だけでの生活は苦しくなることがほとんどであることも、指摘しなければなりません。

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