結婚式はあげましたが、婚姻届は出していません。半年の同居中にうまくいかず、家を出たところ、慰謝料を請求されました

ご相談内容

パートナーとは、お互い合意の上、婚姻届は出さないで、世間的には結婚という形式に見せています。
結婚式もあげて、一緒にくらしていましたが、生活のすれ違いもあり、家を出ました。
相手から、結婚したのも同じだからと、慰謝料を請求されたのですが、そもそも婚姻届も出していないので、法的には夫婦ではありません。
慰謝料を払う必要はないと思うのですが。。

慰謝料とは

慰謝料とは、交通事故やハラスメントや様々な場合に、相手に不法な精神的苦痛を与えると、慰謝料支払い義務が発生します。法的な根拠は「不法行為責任」といいます(民法709条)。

今回のご相談は、婚姻届をだしていなくても、結婚式をあげて、形式上は夫婦生活に入っていて、内縁関係にあたります。内縁関係にあると、準婚理論と言って、婚姻関係と同等の保護が与えられていくのです。

内縁も婚姻関係に準じます

従って、婚姻関係同様に、「正当な理由に基づくことなく」相手に精神的苦痛を与えると、慰謝料を支払わなければなりません。ここでもちろん、争いの対象となるのが、「正当な理由」とはなにをいうのかです。

お互いに、婚姻届を出さなくても内縁関係を続けると合意したのですから、その約束を破棄して実家に戻ったこと自体は身勝手な事象と捉えられる恐れがあるということです。そうだとすれば、内縁関係を解消するに至った正当な理由が本当に存在するのかが問題です。

そもそも、半年の同居生活を経て、それでも家を出たいと思う理由は、一方的なものではないかもしれません。生活のすれ違いというだけでなく、お互いの言動や身内の言動、また、どうしても耐えられない事象や、約束を守らなかったなども、あるかもしれません。

原因を考える上で、話し合いの場を持つことも大切でしょう。というのは、今後の関係はもちろんかもしれませんが、一緒に暮らしていたおうちには、家財や荷物もあるでしょう、いきなり外に出て帰ってこないというのは、それ自体がイレギュラーであることは事実なのですから。

何が原因か整理してみてください

そうして書き出した客観的な原因を見て、責任が一方的にあった場合は、慰謝料を支払う義務がありますし、また双方にある場合は、慰謝料を支払う必要はありません。

従って、婚姻届のあるなしに関わらず、内縁関係にある場合も、慰謝料を検討することは問題ありません。

そもそも、今回の相談の場合、パートナーとは、信頼を構築したうえでのお互い合意の上、婚姻届は出さないで、世間的には結婚という形式に見せていたものでした。実質的には、婚姻関係に等しいものなのです。もちろん、結婚式もあげて、一緒にくらしていたわけですが、一方で、生活のすれ違いは、実際に婚姻届を提出している正式な婚姻関係にあったとしても生じてしまうものなのです。

一方で、だからといって、相手から、結婚したのも同じだからと、慰謝料を請求されたとしても、各種裁判例は、慰謝料の金額は大きくありません。むしろ、そもそも婚姻届も出していないので、法的には夫婦ではありませんという主張ではなく、どのような理由に基づいて、共同生活を解消するように至ったのか、ここに問題の核心があるのです。

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