離婚した夫が、子供を連れ去った

ご相談内容

夫と離婚後、3歳の子供について、月一回の面会交流について取り決めをしました。

最初は、子供を引き渡したあと、決められた時間に子供を連れてきたのですが、だんだん連れてくる時間が遅くなっていました。ラインなどで、子供がパパと離れたくないと泣くから、などを理由にしていますが、私と一緒にいる方が多い子供が、それほど別れ際に泣くとも思えません。

ある日、時間に子供を連れてこないので、電話やメールをしても返事がなく、子供が連れ去られました。夫の自宅に電話してもでないので、警察に捜索願を出しましたが、警察はとりあってくれませんでした。その夜、夫から、子供はうちにいるので心配しないでという一言だけ、メールがきてそれっきりです。

翌日、夫の自宅を訪問したところ、留守にしていて、どこにいるかわかりません。夫と一緒にいるとは思いますが、どうしたらよいかわかりません。

子供を取り返したいです。

相手の住所を突き止める

親権者や監護者でない者が、子供を連れ去るのは違法行為です。子の連れ去りは、犯罪も成立しうる行為なのです。

その場合、子供を連れ去られた時は、引き渡しの審判・監護者指定の審判、とくに緊急性が高い場合には保全処分を申し立てますが、そもそも住所がわからないと、裁判所が受け付けることができません。

住所を調べるには、警察に捜索願を出しますが、もし、夫が、住所を調べられないように、事前に捜索願不受理届を出していると、警察は動いてくれません。これは、例えば、誰かからDVを受けているなどを理由にして、捜索できないようにするものです。

他に相手の住所を調べるには、夫が住んでいた市町村区に、戸籍の附票を請求します。離婚していても、子供の親であれば、取得できる可能性もありますし、法律事務所に依頼して、弁護士から取得してもらうことも可能です。

引き渡しの審判を申請

夫の住所がわかったら、早めに子の引き渡し審判を申し立ててください。早めが望ましいのは、親権者や監護者でない親が子供を長く育てて、生活が安定してくると、相手から親権を求める申し立てを起こされ、子供のためにこちらの生活の方がよいということになりかねないからです。

申し立てと同時に、審判前の保全処分も請求して、子供の引き渡しの仮処分を求めます。

大事なのは、審判申し立ての段階で、未成年者略取の被害届を警察に出すことも検討してください。この被害届で警察が、子供を引き渡してくれるわけではありませんが、審判で相手方が、監護実績を主張してきたら、それはそもそも不法行為によるものだと反論できる証拠になります。

実際には、SNSでの記録などをつけてもらっています。そのほか、これまでの母子手帳など、これまでの監護の実績を証拠として準備してもらっています。

普段から子供や周りとのコミュニケーションを

離婚後、一人で子育てをするのは大変だと思います。日頃から、友人や学校などと連携して、自分がしっかり子育てをしているという監護実績を証明してもらうようにしましょう。

また、夫というだけではなく、子供の安全のために、子供には普段から連れ去りについてしっかり注意しておく、GPSを持たせる、学校や友人にできるだけ事情を話しておく、ことも重要です。

子の引き渡し審判では、審尋といって、裁判所で尋問をうけることになります。

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