妻と離婚して愛人と結婚したい

ご相談内容

妻と結婚して20年、結婚生活では、私の数多い浮気が原因で、喧嘩が絶えず、子供が独立したことを理由に、妻が家を出ていってしまいました。

私としても、会話もない夫婦生活を続けるより、今付き合っている若い女性とやり直したい気持ちもあったので、そのまま放置してました。

別居して3年が経った頃、妻から愛人に対して、不貞慰謝料請求があり、私には、財産分与3000万円の離婚調停を起こしてきました

結局、調停は不成立に終わり、慰謝料請求だけ認められたのですが、最近愛人が妊娠したことがわかり、どうしても妻と別れなければならなくなり、今度はこちらから離婚調停を起こしましたが、妻は、絶対離婚しないと意地になって認めません。

子供も産まれてしまうし、離婚を認めてもらう方法はないでしょうか。

有責配偶者からの離婚請求

離婚は夫婦の合意があれば、自由にできますが、どちらか一方が離婚したくない場合は、民法770条の離婚自由に該当しないと認められません

また、離婚原因を作った方(有責配偶者)からの離婚申立も、原則、認められません

破綻主義

夫婦関係が破綻して、修復不可能な状態であるにも関わらず、離婚を認めないという状態は不自然であるという考え方があり、これを破綻主義と言います。

その判例として、昭和62年9月2日、最高裁判所は有責配偶者からの離婚請求を認めました

全ての有責配偶者からの離婚請求を認めたわけではなく、条件があります。

- 夫婦の別居が、その年齢及び同居期間と比べて、相当期間に及んでいること
- 夫婦の間に、未成熟子がいないこと
- 離婚により、相手が困ることがないよう経済的な面倒をみること

などがあります。

相当な別居期間とは

上記の判例の別居期間は、36年でしたが、その後も、30年、20年、17年、10年と段々期間が短縮されてきているようです。

有責配偶者からの離婚請求で、裁判所が認めた判例で、別居期間が短いものでは、妻が浮気をしてそれを精算したが夫がやりなおす努力をしてこなかったケースで、9年8ヶ月間の別居や、事実上夫婦関係は破綻しているが夫が調停にでてこないなど無駄に長引かせているケースで、6年間の別居という判例もあります。

一概に、別居期間だけで、離婚を認める認めないというより、それぞれの婚姻関係の状態、お互いの修復への努力などが、関連してきます。

なお、別居期間が長期化しているかどうかは個別の事情によって変動していくものなので、無駄に長引かせているといえるかどうかは再考の余地があることを指摘できます。

別れたい場合

ご相談者様の場合、別居期間は5年ですので、長いとは言えないかもしれませんが、別居前の婚姻生活が円満だったか、破綻していたかも関係してきます。

妻は、夫が愛人と結婚することを阻止する恨みから、離婚を拒否しているわけですし、夫が有責配偶者であることには変わりありません。

どうしても離婚したいというならば、妻に謝罪をした上で、妻がこの先生活に困らないような離婚慰謝料や財産分与を払って別れることも選択の一つです。

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