離婚後の養育費を一括払いしてもらえますか

ご相談内容

和解して離婚する予定です。私(妻)が子供の親権者となり、育てるので、養育費を毎月支払う約束になっています。

しかし、夫も仕事を継続するかわかりませんし、再婚して子供を設けるかもしれないことを考えると、支払いが止まる恐れがあると考えています。

約束の、子供が成人するまでの養育費を一括して、前払いしてもらいたいのですが、方法はありますか。

月払いが原則ですが、一括払いの可能性もあります

養育費の支払いは、子供のための生活費として、必要な都度発生するものであり、月払いが原則です。通常、家庭裁判所の合意や審判でも、一括払いで合意されることはほとんどありません。

理由は、子が20歳になるまでか、22歳になるまでかを含めた終期の問題、また、途中で病気などになった場合にはどうするのか、などの諸問題を抱え続けているのが養育費の請求の局面だからです。

ただし、支払う側に経済的基盤があり、一括払いに合意すれば、可能性があります。

一括払いにした場合の問題点

養育費を一括払いにしておけば、今回の相談者の不安と同じく、支払う側の生活状態の変化によって、支払いが困難になって、支払い履行を心配する必要がなくなります。

しかし、一括払いにした場合は多くの法律上の問題点がでてきます。

例えば、子供が途中で死亡した場合、残りの養育費は、子供の相続財産になり、相続人(通常は親権者、この場合は元妻)が相続してしまう問題点や、監護親が自分のために全部使ってしまい、子供が要扶養状態になる危険や、養育費の額によっては、贈与税の支払い義務が発生するなどです。

また、養育費という概念は、本来は毎月ごと発生する性質のものなので、事情の変動、すなわち支払い債務者の経済基盤の変動が生じた場合増額や減額に応じてもらえないことがほとんどになります。

一括払いを求める場合

養育費の一括払いを実現するためには、支払い義務者が合意する必要がありますが、通常は、一括払いを嫌がります。

その理由は、一括で払うと、監護親が自分のために使ってしまう疑い、縁が切れて子供と会えなくなる不安があります。

そこで、要求する側は、それらの懸念を払拭して、お金をもらえればそれでいいという態度ではなく、子供と関われる環境を作るなど、信頼を得るよう努めてください。

信託の利用もあります

一括で支払われた養育費を、信託銀行などが預かり、運用する養育信託にして、毎月受け取るという方法もあります。

これにより、養育費同様、非課税になりますが、銀行によっては、手数料を支払う必要が生じてきますので、家族信託を組む場合には要検討です。

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