養育費の支払いが止まった

ご相談内容

半年前に協議離婚をしました。2人の子供の親権はわたしがもっていて、元夫は、給与から計算して、妥当な養育費の支払いを約束しました。

離婚時には、2人で話し合って決めた協議離婚だったので、一緒に公証役場に行って、養育費の支払いについて、公正証書を作成して取り決めをしました。

公正証書があれば、絶対大丈夫だと思っていましたが、離婚して数ヶ月は養育費を支払ってくれていたのですが、最近は、手持ちがないとか言い訳をつけて、支払いが止まってしまいました

私も、子供も食べていかなければならず、養育費が止まると生活ができません。裁判所に行ったら、元夫から養育費を取ってくれるのでしょうか。

養育費の支払い

離婚時には、養育費の取り決めをしても、一旦離婚してしまうと、夫婦関係はなくなりますし、支払いをきちんと履行していくのは、難しい人が多いのが現状です。

養育費の支払い率は、3割程度というデータもあり、多くの親権者が、困っているのも現実です。

別れた後も、連絡を取り続けたくない状態かもしれませんが、子供にとっては親であることには変わりなく、子供の成長を知らせるなど、日頃から、子供に関しては連絡をとることも養育費の支払いをスムーズにする方法の一つかもしれません。

また、支払いが滞ったら、まずはメールや電話などで催促をしてみてください。いきなりの法的手段は、相手を頑なにして、不払い期間が長くなる恐れもあります。

取り決めの種類

離婚時に養育費などを決める場合、離婚した形態や、2人の取り決め方には、様々な方法があります。

1 協議離婚で、口約束で取り決めした

2 協議離婚で、約束した紙を書いた

3 協議離婚で、公正証書を作った

4 調停離婚で、調停証書がある

5 審判離婚で、審判調書がある

6 判決離婚で、判決書がある

今回のご相談者様の場合は、3に当たります。
取り決めをしたときに、2人だけで決めた、口約束や紙に書いただけの1や2は、残念ながら法的拘束力はありません。

1や2の状態で、養育費の支払いが止まった場合は、法的拘束力を持たせるために、調停からやりなおしになり、3以降の債務名義を取得する必要があります。

履行勧告

履行勧告とは、家庭裁判所で決めた養育費について、支払いが止まった場合には、履行勧告ができます

家庭裁判所に、履行勧告の依頼をして、家庭裁判所から相手に支払うよう説得したり、勧告してもらいます。

ただし、これには、強制力はなく、相手が家庭裁判所からの勧告も無視した場合は、支払わせることはできませんが、相手方は、家庭裁判所から説得されることにより、支払う場合もあります。

履行勧告は、取り決めの種類のうち、3の公正証書ではできませんが、4から6の債務名義があれば可能です。

履行命令

履行命令とは、家庭裁判所から相手方に一定期間を定めて、支払いをするよう命じます。命令に従わなければ、10万円以下の過料の制裁をうける場合があります。

ただし、これは、相手方の経済的状況によるので、履行命令がでない時もあるので、注意してください。

履行命令は、取り決めの種類のうち、3の公正証書ではなきませんが、4から6の債務名義があれば可能です。

間接強制

間接強制とは、約束した支払いがない場合は、裁判所が、一定の期間の後、それでも支払いがないと、制裁金を支払うよう命じます

これは、支払いが遅れると、通常の遅延損害金が加算されて、制裁金が増えていくことになります。

間接強制は、取り決めの種類のうち、3から6まで可能です。

直接強制

直接強制とは、約束した支払いがない場合は、裁判所が、強制的に相手方の財産を差し押さえて、支払いを強制的に実行させまます。

相手の給与や財産を把握している必要がありますが、給与を把握している場合には、給与の2分の1までは差し押さえることができます。

直接強制は、取り決めの種類のうち、3から6まで可能です。

どこまで強制的な手段を使うか

養育費の支払いが滞った場合、法的強制力のある様々な手段があります。

履行勧告から直接強制まで、強制力は強くなっていきます。

養育費は、子供の成長の期間に渡り、長く続くものです。相手方との話し合い、子供との関係性、相手方との勤務状況や、支払い能力などを考えて、適切な方法を選択してください。

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