養育費の未払いが怖いので、養育費は一括でもらたい
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ご相談内容

夫と離婚に向けて話し合い中です。小学生の子供2人は、私が引き取って育てることで合意しています。

養育費の取り決めでは、裁判所のホームページにあった養育費算定表を使って、養育費の金額を決めて、夫も支払うことに同意しています。

夫は、スタートアップ企業に勤務しており、現在は収入も貯金も十分あり、養育費の支払いに困ることはないのですが、やはりスタートアップ企業なので、この先会社が潰れたり、失業したりなどの将来の不安が残っています。

離婚時に、お互い合意して決めた養育費であっても、養育費未払いのケースも多いと聞きます。

将来に不安を残して、毎月養育費を支払ってもらうくらいなら、離婚時に将来の養育費分も一括して支払ってもらいたいと考えています。大丈夫でしょうか。

養育費非課税の原則

養育費は、原則的に税金はかかりません。所得税は、自分(親)が得た所得に対して課税される税金です。

親権を持ち子どもを監護する養育者に対し、片方の親から支払われる養育費は、子の生活費を片方の親が負担しているという解釈となり、それは扶養している親の所得にはなりません。

つまり、支払う側の親は、すでに収入に対して所得税を支払っていて、そこから切り出して、子どもが自立するまでに要する衣食住や教育、医療などに要する育てるお金を払っても、それは課税対象にならず、そのため養育費には所得税がかからないことになっています。

従って、確定申告等で養育費を所得として申告する必要はありません

養育費の一括請求?

上述したように、養育費を支払う親は、所得税を支払っており、そこから切り出して、一定金額の養育費を支払うので、養育費の負担は月々に発生するものであり、将来の養育費まで一括して請求することは原則できません

ただ、双方が合意した場合には、養育費を一括して支払うことも可能ですが、その場合には、税金の問題が発生します

離婚に関して支払われる養育費については、必要な都度(毎月)支払われた金額は非課税になりますが、まだ発生していない将来の養育費の支払いは、贈与税の対象となるのが、国税庁の見解です(相基通21条の3)

これには、「生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合又は株式の買入代金もしくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、(養育費として)通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱う」としています。

ただ、どうしても一括で養育費を払ってほしい場合には、養育費の一括払いと明記せず、財産分与の金額で含めて解決する方法もありますが、その場合は、養育費請求権を放棄することに繋りますので、ので慎重さが要求されます。

信託銀行に預ける

養育費の未払いの問題が多く発生している現在、離婚時に、相手が支払える能力のあるうちに、全額支払ってほしいと思う気持ちもわかります。

その場合、信託銀行で、子供を受け取り者にする信託契約(特約付き金銭信託)を締結し、一括で支払った養育費を全部信託銀行にあずけて、養育費に相当する給付金を、毎月継続的に受け取る方法もあります。

その場合は、通常の養育費同様、非課税扱いにすることができます。ただし、養育費分(元本)は非課税になりますが、利子などの利益分は、子供の所得になります。

この場合の注意点は、毎月養育費が支払われてる場合、元本を払っている夫(父親)の扶養控除の対象とすることもできるので、妻(母親)か夫(父親)のどちらで扶養控除にするかを、決めておく必要があります。

それぞれの手続きは、信託銀行によっても異なりますので、複数の信託銀行に確認してみてください。

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