離婚した後、私(妻)が子供を育てていますが、今後私立小学校に入れたいと思っています。塾代や学校代を夫に養育費として増額請求できますか?

ご相談内容

夫と2年前に協議離婚をして、離婚協議書で取り決めた養育費を月7万円もらっています。

来年、子供が小学校へ行く予定ですが、私立の中高大の一貫校を受験させて、入学させたいと考えていますが、それに関係する塾代や私立学校の授業料などが高いので、月7万円では足りません。

養育費を増額する、または一括で支援してほしいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。

私立学校の学費

子供の養育費の算定表は、子供の生活費指数を決定するために、学校関連の金額も入っています。ただし、これは公立中学、公立高校の教育費を前提としていているので、私立学校の学費を養育費の算定に入れるかどうかは、検討課題です。

すでに私立学校に通っていて、離婚した場合は、そのまま私立学校への通学を前提として、養育費が算定されることが多いですが、離婚後の場合は、私立学校への通学を、相手が承諾しているかどうががポイントになります。

考慮のポイント

まず、私立学校の学費を考慮する場合、支払う義務者と権利者の基礎収入に応じて算定されます。

当事者の学歴、職業、資産、収入、子供の学習意欲や能力、住んでいる地域の進学状況など、を総合的に考えて、私立学校へ通うことが適切であると判断される場合には、養育費に含めることができます。

今回のご相談は、すでに離婚された後なので、前もって、私立学校へ通うことが適切であるなどを、普段から、子供の環境や状況を共有しておくことが重要です。

その上で、親権者の収入が低い場合、養育費の増額を検討してもらうことを、元夫に請求して、検討してもらいましょう。親権者も、家計とのバランスを考えて、塾や私立学校を選定して、それが子供の将来の可能性につながることを、しっかりと理解してもらうことが大切です。

ちなみに、大阪高決平2・8・7家月43巻1号119頁では、子供の扶養とは、扶養義務者である親と同一の生活水準を保つ義務があるとしており、医師や薬剤師の両親の職業や学歴、教育水準を考慮して、大学卒業までの扶養料を負担すべきと述べて、義務者の同意がなくても負担すべき場合があると示しています。

最後になりますが、できれば、養育費の定めをする場合には、進学費などの特別の出費に抽象的に入れ込むよりも、いつの時点でいくら支払うという風に具体的に定めておくことをお勧めいたします。そうでないと、争いを先延ばしにするだけだともいえます

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