結婚前、夫は一流大学を出て、パイロットの資格もあると言っていましたが、全部嘘でした。詐称として、離婚したいです。

事例

今回は、結婚前に、一流大学を卒業して、パイロットの資格もあり、航空会社で働いていていると聞いていました。
ところが、航空会社では勤務していたものの、パイロットではなく、地上勤務の運送関係をしていました。
収入も聞いていた額より少なく、これは明らかに詐欺だと思います。
離婚したいのですが、できますか。

経歴詐称自体が離婚理由になるか

普通は、結婚前に、お互いの話をするのでしょうが、本当の事実を全て把握することは難しいと思います。実際、コミュニケーションのずれが問題なのか、相手によく思われたいことが原因なのかはわかりません。

しかし、離婚の法的根拠しては、この経歴詐称自体が、「婚姻を継続し難い重大な事由」と言えるか、という点ですが、これだけでは離婚事由になることは難しいと判断されることもあります。

しかし、裏切られた気持ちのほうが強いのであれば、別居などをして、距離を取っていくことで婚姻を継続し難いと、判断される可能性はあるでしょう。

結婚は学歴や職業だけで、結婚するとは考えられず、いろいろな要素で決定されるはずです。たとえ、学歴や職業が違っていたとしても、家庭生活が円満になることもありますし、そういう家族を、弁護士はよくみています。

経歴詐称により、婚姻破綻の状況が生じたか

経歴詐称自体が、民法上の離婚原因ではありませんが、経歴詐称により何が破綻の結果になったかです。

そもそも、結婚相手に、学歴や職業を偽って伝えるという人格にも問題があるかもしれません。

詐称の中身も重要です。今回の詐称により、収入が大きく変わり、結婚生活が継続できない収入であったり、それによって何か派生的な問題も出てきているかもしれません。

それらの影響の大きさも、婚姻関係の破綻の要素の一つになります。

従って、学歴や職業詐称、そのものだけでは、離婚の原因にはなりませんが、そこから派生する問題、すなわち、結婚前に、一流大学を卒業していると虚偽を主張したのであれば、今後の夫婦関係・扶助義務をめぐって大きな争いになってしまいうるところです。

また、パイロットの資格もあり、航空会社で働いていていると話をしていたにも関わらず、そうでないのであれば、将来設計にも大きな穴があいてしまうでしょう。パイロットではなく、地上勤務の運送関係がよいとか悪い、とはいいません。

しかし、裏切られた気持ち、とりわけ扶助義務との関係では、収入も聞いていた額より少ないというのは、正当な離婚原因になるのではないでしょうか。離婚したいのですが、できますかという問に対しては、できるという回答になります。

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