この記事のポイント
- 既婚者とは知らずに付き合っていた相手の妻からの慰謝料は支払わなくてよい場合も
- ただし状況によっては慰謝料を支払わなければならないこともあるので注意が必要
- あなたに過失がない場合においては相手に慰謝料請求することも可能
「独身だと思って付き合ってたのに…」
「結婚するつもりだったのに騙された!」
「相手の奥さんから慰謝料請求されたけど支払わないといけないの?」
自分自身は純粋に付き合っていただけなのに、相手が実は既婚者だった。さらに既婚者だったと知ったのが、相手の妻から慰謝料請求されたことがきっかけだとしたら…。
これにはとてもショックを受けるでしょう。実際にこういうケースは多く、たとえば脱衣所でたまたま財布などをみて発覚するなどのケースは後をたえません。だいたいが、結婚する気持ちがある相手からこのようなトラブルに発展するケースが多いように感じます。
結論からいいますと、独身だと騙されて付き合っていた場合には慰謝料を支払わなくていい場合もあります。
また反対に騙されて付き合っていたということで、男性に慰謝料請求できる場合もあります。
このケースについて解説していきましょう。
相手男性が既婚者と知らなければ慰謝料請求されても支払う義務はない?
- そもそも不倫関係で不貞行為があるならば慰謝料請求に応じなければならないことも
- ただし既婚者と知らず過失がない場合においては慰謝料請求に応じなくて良い場合も
- 既婚者と知った時点で交際をやめることが適切
そもそも既婚者と付き合っているならば不倫関係にあり、不貞行為(肉体関係)があるならば離婚事由や慰謝料請求の事由として認められることになります。
ただし相手男性が既婚者と知らなければ、仮に不貞行為があったとしても、慰謝料請求されても支払う義務がない場合もあります。
これには「既婚者と知らないことに過失がない」という条件が必要になります。
この場合の過失とは、既婚者と知ることができたにもかかわらず注意を怠ったようなことをいいます。あなたが騙されていたような場合においては、もはや既婚者と知る由はなかったのかもしれません。
例えば「独身です」「結婚しよう」と言われていたような場合です。好きな相手からそのように告白されていたら、まさか既婚者だとは考えることはないでしょう。
既婚者だと知っていたら付き合っていなかったでしょうし、既婚者であることを知った時点で交際をやめるのであれば慰謝料請求されても支払わずに済むこともあるのです。
万が一、仮に慰謝料請求されてしまった場合でも、故意がないことは主張できるでしょうが、そうすると、過失の有無が争点になってしまいます。多くの場合は、軽過失までは認められてしまうのが現状でしょう。
慰謝料を支払わねばならないこともある?
- 既婚者と知ってから交際を続けてしまった場合には慰謝料請求に応じなければならないことも
- ただし夫婦生活が破綻しているような場合には応じなくてよい場合もあり
- 破綻していると信じたことに過失がないことが条件になる
既婚者だと知ってしまってショックを受けたとしても、どうしても相手のことが忘れられず、交際を続けてしまうということもあります。
そのような場合であれば、すでに既婚者だと知った上で付き合っているわけですから、不倫関係にあります。
この状況で不貞行為や不法行為(夫婦関係を破綻させてしまう行為)を続けてしまった場合においては、相手の妻から慰謝料請求されてしまった場合には応じなければならない可能性もあります。
ただしそのような状況においても、既に妻とは別居していてて夫婦生活が破たんしているような状況や破たんしていると疑わない場合においては慰謝料請求に応じなくてよい場合もあります。
夫婦生活が破綻していると疑わない場合においては、そう信じたことに過失があってはいけません。
相手に慰謝料請求することができる?
- 既婚者と知らずに肉体関係を結んでしまった場合には慰謝料請求することが可能
- 民法において貞操権の侵害による慰謝料請求が認められている
- 既婚者であると判断することが難しかった場合でも慰謝料請求が認められることもある
あなたは真面目に付き合っていて、まさか相手が既婚者だとは知らなかったのであれば、あなたは騙されていたわけですから、あなたが慰謝料請求することが可能な場合もあります。
誰でも肉体関係を結ぶ相手を選ぶ権利を持っています。
民法において「貞操権」と呼ばれていますが、貞操権を侵害された場合には相手に対して慰謝料請求することが可能です(民法710条)。
特に相手が独身だと嘘をついて肉体関係を結んでしまったり、結婚話をほのめかして肉体関係を結んでしまったような場合であれば、貞操権の侵害として相手に慰謝料請求できる可能性が高くなります。
また独身だという話や結婚話がなかったとしても、男性が既婚者であると判断することが難しかったような場合においても慰謝料請求が認められることもあります。
まとめ
- 既婚者とは知らずに付き合っていた相手の妻からの慰謝料は支払わなくてよい場合も
- ただし状況によっては慰謝料を支払わなければならないこともあるので注意が必要
- あなたに過失がない場合においては相手に慰謝料請求することも可能
- 慰謝料請求された時点で慰謝料問題に精通した弁護士に相談することが適切
とても大好きで付き合った相手から「既婚者だった」 と言われたらとてもショックでしょう。その妻から慰謝料請求されてしまった際には、ショックだけではなく相手を許せない気持ちになってしまうかもしれません。
このような状況においては、とても複雑な気持ちかもしれませんが、一人で悩んでいては解決することができない場合があります。
むしろ事態を悪化させてしまうこともあるのです。
まずは不倫問題や慰謝料請求に精通した弁護士に相談することが適切です。
どのように解決していけばいいのか、アドバイスを受けながら進んでいくことがいいでしょう。