【解決事例】有責配偶者からの離婚請求はできるのか?

40代女性(Bさん)からのご相談です。

「自分自身が不倫をしてしまった。不倫相手と同棲をはじめており、離婚して新しい人生を歩みたい」

というご依頼を頂きました。

相談内容とその時点での状況

この女性は、自分自身が不倫をして、その事実は認めています。

不倫相手は会社の同僚で、相談時点にはパートナーとは別居して同棲をはじめていました。

実際のところ、夫婦関係の相談を繰り返しているうちに、一線を越えてしまったとのことでした。

法的には、この場合、この女性は「有責配偶者」と呼ばれ、結婚生活を破たんさせた当事者に当たります。

自らが不貞行為をしてしまったにもかかわらず、パートナーに対して離婚請求することはできるのかと気にされていました。

しかし「破綻後の不貞行為であった」旨の主張をすることなど、まだ改善できる余地はありました。

パートナーは当然ながらすんなり離婚を認めるようなことはなく、「不倫慰謝料を2000万円支払うのであれば離婚に応じる」といった、不相応といわざるを得ない提案が続いていました。

そもそも有責配偶者からの離婚請求は認められる?

有責配偶者から「離婚したい!」ということは珍しいことではありません。

離婚したいからこそ不倫をしてしまった、離婚できないから不倫してしまったという方もおられるのは事実ですから。

ただ判例では有責配偶者からの離婚請求は認めていないんですね。離婚原因を作り出した当事者ですから。

しかもパートナーが認めていないのであればなおさらです。仮に不倫慰謝料を支払ったとしても、認められることはないのです。

弁護士の介入~有責配偶者が離婚できるケースとは

しかしこのようなケースにおいても、パートナーが離婚を認めれば、有責配偶者からの離婚請求を認められることになります。

どのような理由であっても、夫婦お互いが離婚を認めるのであれば離婚することは可能なのです。

ただし有責配偶者ということであれば、不倫慰謝料を支払って離婚することになります。

特に今回のケースの場合、「不倫慰謝料を2000万円支払うのであれば離婚に応じる」とパートナーから言われているくらいですから、慰謝料を支払って離婚を受け入れてもらうというしかないのです。

最悪の場合には、裁判によって離婚を争うことにもなりますが、わたしは真摯に向き合って対話をする重要性を感じました。

弁護士 齋藤健博はこのように考えました

結論としては、調停を申し立てて、離婚を実現することができました。

これはこの女性が真摯に反省し、わたしが代理人として対話を続けたことがポイントではないかと考えています。

先に申したとおり、パートナーからは「不倫慰謝料を2000万円支払うのであれば離婚に応じる」といった不相応といわざるを得ない条件の提案が続いていました。

しかし真摯に反省をすれば伝わるはずだと考えたのです。

これまでの反省の謝罪文をお渡しし、お金の問題など、積み重なる問題を一つ一つ解決していきました。不倫相手から、慰謝料支払いも分割で続いていることも立証しています。

そして調停期日で、目の前の離婚を実現できました。

これが基本だとも思っています。

どんな事件でも同じかもしれませんが、相応の責任の範囲を巡って争いになることは事実です。

しかし確立した判例法理、民法のルールを適切に用いることで、バランスの良い着地点を探ることは十分可能だと確信しています。

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