離婚後も養育費を支払っている子が、大学院進学します。まだ支払い続けるのでしょうか

ご相談内容

離婚後も、長男に対しては、妻と約束した養育費をずっと払い続けています。

私も妻も四年生大学を卒業しているので、せめて長男も大学を卒業するまではと、大学の学費も払っていたのですが、今度大学院に進学したいと言い出しており、妻からも、継続して養育費の上に大学院の学費を支払うよう言われています。

わたしも、昨年、勤務していた会社を定年退職しており、年金とアルバイトで生活しています。

長男の大学院の学費まで支払う必要があるのでしょうか。

20歳を超えた子どもの養育費や学費

最近は、大学進学率も50%を超えて、子どもが大学や大学院に進学することも一般的になってきました。

離婚後、子どもに養育費を支払っている場合、その子が大学に進学する18歳の時点で、養育費に追加して学費を支払うよう要求される父親も多いようです。

また、進学塾の学費、浪人や留学などで、支払い期間が伸びて、予想外の費用負担で苦しむ父親もいます。

ご相談者様のように、大学院に進学したい、または医学部に進学したいと言われた場合は、必ずしも、その費用負担は、明確な決まりはなく、ケースバイケースで決めていきます。

20歳を超えた子どもの学費などの請求方法

20歳を超えた子供の学費、または生活費の請求方法としては、民法766条1項に基づき、母親が子の養育費として請求する方法か、または、民法877条に基づき、子供自身が自分の扶養料として請求する方法があります。

民法766条は、子の監護についての必要な事項を定めていますので、子供が20歳を超えて母親が親権者でなくなった後も、養育費を請求できるか、と言う問題があります。

一般的には、子供が20歳に達する前と後とで、特段事情が異なることがない場合、 監護者(この場合は母親)が成年後の分も一括して解決するのが、当事者の利益である、つまり民法766条の類推適用を認める、との見解が有力です。

したがって、ご相談者の場合も、20歳を超えても母親が子どもの大学や大学院の学費を請求することも一般的です。

支払義務

民法766条1項の定める子とは、20歳に達した子は含まないとされていますが、実務においては、これを未成熟子といい、20歳を超えても仕事をしないで、学校に通っている子どもは、未成熟子とされます。

但し、未成熟子なので、そのまま養育費や学費の支払い義務があるわけではなく、その負担については、状況によって異なります。

例えば、
両親が大学や大学院に進学しているか
・進学について両親と話し合っているか
・父親の子の進学に対する考え方
・これまでの子どもとの交流の経緯
・離婚に至った経緯
・これまでの養育費の支払い状況
・父親に経済的余裕があるか
・学費、生活費、をどこまで負担するのか
国立と私立の授業料や奨学金の扱いを話し合っているか

など様々な状況を、考慮して判断されます。

算定方法

20歳を超えた子どもの養育費について、その父親に支払い義務があるとされた場合、その金額は、子が19歳になるまでに支払ってきた算定方法や金額を継続して支払うことが一般的です。

しかし、父親が子の進学を承諾していない場合や、実際に支払い能力がなく、費用を少なくする場合は、生活保持義務ではなく、生活補助義務の範囲とし、子どもがアルバイトや奨学金でも賄えない金額のみを負担する方法もあります。

いづれの場合も、子の進学については、母親または子本人とよく話し合って、進学に対する考え方など相談して決める必要があると思います。現実は、皆さん大学に行く方がほとんどです。したがって、20歳という基準に拘泥することはありません。

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