DVが原因で離婚します。離婚届に現住所を書きたくありません

ご相談内容

夫からDV被害を受けていたために離婚することになりました。調停も行い、夫は離婚に合意したので、この後離婚届を提出する予定です。

DV被害を受けた以降は、調停中も、わたしは子供を連れて家を出ており、調停期間も、夫には現在の住所を知らせないように配慮して、調停を進めてもらいました

夫は離婚届にサインをしているので、私もこれにサインをして近くの役場に提出する予定ですが、現在の住所地を記載したくありません。

もしかしたら夫に知られてしまう恐れがあるからです。

離婚届に現在の 住所を記載しないで、離婚届を受理してもらえるのでしょうか。

離婚届の住所地の記載

戸籍29条は離婚届を含む届け出の記載事項について定めています。

届出には、届出人の出生の年月日、住所及び戸籍の表示を記載する必要があります。

記載する理由は、届出人を特定し、同一性を明らかにするためですので、ここで言う住所とは、住民票記載の住所 が該当します。

つまり、離婚届に新住所を記載しないまたは旧住所を記載して届け入れる事は、基本的には難しいです

相手に知られる危険性

離婚届に新住所を記載した場合に、どうして相手方に新住所を知られる危険が生じるのでしょうか。

なぜなら戸籍48条2項に基づき、利害関係人(届出人やその親族など)が、特別の事由がある場合に限って、市町村役場が受理した婚姻届や離婚届等に記載された事項について、証明書を請求することができるためです。

つまり、今回のご相談者様のように、DVの加害者である夫が、離婚後、被害者である別れた妻の新しい住所を知るために、例えば、離婚無効確認訴訟の準備等などと理由をつけて、離婚届の記載事項証明書の交付請求を行った場合、新住所地が相手に知られてしまいます。

住所を知られないようにするために

離婚届が、届出人の特定のためだけに住所を書くのであれば、今回は、DVが原因の離婚で、新住所を相手方に知られたくないなどと言う理由を、役所窓口に相談して、旧住所を書いた離婚届やまたは住所地を記載しないままの離婚届を受理してもらえないかと言う交渉をする事は可能です。

または、 離婚届自体には新住所を記載したとしても、その後の、交付請求への対応策として住民基本台帳事務処理要領記載の支援措置(住民票等の交付制限など)を受けている方については、加害者等から、届け出した書類の、記載事項証明書や閲覧の請求があった場合、被害者の住所電話番号等の内容が、加害者に知られないように、マスキング処理がなされた上で、交付されることになっているので、これを利用することも方法の一つです。

各種支援措置は、その場に応じて対応してもらう必要があると思います。

DV等支援措置関連通知については、総務省のホームページの、住民基本台帳等の箇所に記載がありますので、参考にしてみてください。

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