離婚時に受け取れる可能性があるお金
- 婚姻費用分担請求
- 財産分与
- 慰謝料
- 養育費
どのようなものなのか詳しく見ていきましょう。
婚姻費用分担請求について
夫婦は生活しているうえで必要な費用は2人で分担しなければならないと民法に定められています(民法第760条 婚姻費用の分担)。
夫婦生活で必要な生活費のことを民法では「婚姻費用」と呼ばれていますが、衣食住に必要なお金だけではなく、子供の養育費なども含まれます。夫婦は同等の生活を営むことができるようにしなければならない義務があるのです。
例えばパートナーが家庭に必要なお金を負担してくれないような場合であれば、「婚姻費用分担請求」をすることができます。
民法では「悪意の遺棄」と呼ばれている離婚の理由に認められている行為になります(民法752条)。
ほかにもDVや不貞行為(浮気や不倫など)が原因によって別居しなければならない場合や子供を引き取っている場合にも請求が可能です。
別居すれば必ずしも請求できるというものではありませんので、請求に関しては弁護士に相談することがいいでしょう。
多くの場合は、婚姻費用分担請求調停を起こさないと、なかなか任意の支払が期待できないのも事実です。
あとで説明しますが、婚姻費用分担請求は、裁判所が定めている算定表にしたがうことがほとんどです。
財産分与について
財産分与とは、夫婦生活の間に購入した自宅や貯めていた貯金、月々支払ってきた保険などを分配する方法のことをいいます。
民法には、離婚する際にパートナーに対して、財産の分与を請求することができると定められています(民法768条1項)。
財産分与には大きく3種類に分類されることが多くあります。
「清算的財産分与」 夫婦で築き上げてきた財産を公平に分配する
「扶養的財産分与」 離婚で困窮する場合に認められる扶養目的の財産分与
「慰謝料的財産分与」財産分与に慰謝料的な性質を含むもの
財産分与の対象となるものは夫婦で築きあげた共有財産で、不動産や預貯金、車、保険返戻金、退職金などになります。将来的に受け取ることができる年金についても共有財産に含まれます。
ただし別居したときには「別居時」が基準となり、離婚前であっても別居したあとに作った財産は夫婦で築いた財産とはいえないことがあります。
慰謝料について
慰謝料とは、不倫や浮気などの不貞行為が理由によって離婚となる場合の損害賠償のことをいいます。
不貞行為を行ったパートナーや不倫相手に対する懲罰的な意味合いも含んでいるといえます。
そのため不倫や浮気をされたことによって精神的な苦痛を受けてしまった場合や夫婦関係が破たんしてしまった場合に請求することが可能です。
この慰謝料については、パートナーだけではなく浮気・不倫相手にも請求することが可能です。
この浮気や不倫が度重なる行為であった場合など悪質だと判断できる場合には、慰謝料の金額が高額になることもあります。
多くの場合は、不貞行為、DVです。ただし不貞行為の場合には、不倫相手にも請求ができます。
養育費について
養育費とは、離婚時に子供を引き取る場合に、20歳になるまでの生活費として受け取れる監護費用の分担金をさします。
民法においては婚姻費用分担(民法760条)、夫婦間の扶助義務(民法752条)、子の監護費用(民法766条1項)において示されています。
離婚したとしても、親としての責任がなくなるわけではなく、養育費によって扶養しなければならないのです。
そのため、この養育費については子供が最低限生活できればよいという費用ではありません。「余裕がないから養育費を支払えない」というものではないのです。
具体的な金額については「養育費算定表」を用いて金額を算出していきます。
年金分割制度について
「年金分割制度」とは、離婚時や離婚後に夫婦の厚生年金を分割することをさしており、結婚期間に応じて決められた割合で分割します。
実際支給される年金額を分割するのではなく、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)から標準報酬を分割することになります。
そのため専業主婦であっても、最大で半分は妻が支払った保険料として認められることになりますから、大きなメリットがある制度だといえるでしょう。
まとめ
今回の記事のまとめ
・離婚時にパートナーから生活に必要なお金を得られる可能性があります
・お金がないからと離婚をあきらめる必要はありません。
・離婚問題に精通した専門家に相談してみましょう!
今回ご紹介したほかにもさまざまな公的な手当てや助成制度、税金や年金などの減免制度がありますので、各市区町村の役所に問い合わせてみればいいでしょう。
民法において定められている、パートナーに請求できるものについてご紹介してみました。
離婚を考えた場合には、必ずお金が必要になります。
お金のために離婚を踏みとどまるということがありますが、1人で抱え込まずに離婚問題に関しては、専門家に相談してみることをおすすめします。