財産分与時に、婚姻時の浪費を返してほしい

ご相談内容

16年間結婚していましたが、私の決定的な浮気が原因で、妻と離婚することになりました。長年の夫婦生活では、小さな浮気はあったのですが、バレても、謝罪してブランド品などを購入したり、豪華な旅行に連れて行くことで、妻も許してくれていていました。

私の収入はすべて妻に渡していたので、その中で家計や、自分の好きな買い物をしていたようです。最終的に離婚することになって、妻に夫婦の貯金を聞くと、ほとんどお金はなく、妻のブランド品の購入になったかと思うと、今まで一生懸命働いてきて、悔しくてなりません。

それでも、離婚となると、妻は一緒に生活していた高級マンションや車や、私の入っていた保険や、私の将来得られるだろう退職金まで、共有財産の中に入れてきて、2分の1を主張します。

私が働いてきたお金が、浪費されて、私は何も貯金がなくなり、離婚するかと思うと、妻の結婚生活での浪費分を取り返したいです

財産分与にこの金額を考慮することによって、一円も妻に財産を渡したくありません。

婚姻期間中の浪費

信頼して家計を任せていて、貯金は溜まっているだろうと思っていたら、離婚するときになって、他方から貯蓄額が想像していた以上に少ないこと、定期預金が解約されていたり、自分の知らない多額のお金が買い物に使われていたことを初めて知る人も少なくありません。

銀行やクレジットカードの取引明細を取り寄せて、改めて、使途不明金や浪費があったことをしり、これらの金額を、財産分与の金額に持ち戻す、考慮するという主張はありえます。

基準日

しかし、財産分与の対象は、離婚を決めて「別居」した日を基準日にして、その時点での貯蓄額を夫婦の共有財産としますので、その前の、婚姻生活中に、浪費や使途不明金など、すでに使われてしまった財産に対しては、財産分与の対象とすることはできません

寄与分等で考慮

それでも、使途不明金や浪費を理由として、共有財産を勝手に使っている、夫婦が協力して財産形成をしていない、生活を支えていない、などを理由として、寄与割合を変えて、一方を8割、他方を2割とする主張をすることもありますが、使途不明金があるからと、寄与割合を2分の1から変更することはかなり難しいかもしれません。

そもそも寄与割合を2分の1から修正することができるのは、極めて例外的に一方だけが財産形成に貢献したような顕著な事情が証明されなければなりません。

したがって、使途不明金、浪費があったと言っても、その間は、夫婦生活は円満であったわけですから、そのような顕著な事情があったと考慮されることは難しいでしょう。

財産分与において、使途不明金の立証をする時は、それだけをするのではなく、その浪費により夫婦の経済的協力関係がなかったことを、具体的に証明することが必要かもしれません。

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