ご相談内容
婚約者から性格の不一致を理由で、突然、結婚しないと言われました。
結納や結婚式場予約はしていませんでしたが、お互いの親や友人に紹介して、将来結婚すると話していました。一緒に住む家は準備しており、家具や家電製品も揃えており、そのお金は彼がすべて払っています。
私は会社にも、来年には結婚するので、寿退職する予定だと伝えていて、退職日も決めおり、今更結婚しないとは言える雰囲気ではありません。
会社はもう辞めるしかないのですが、再就職までのこともあり、彼に婚約破棄を理由に慰謝料請求できますか。
婚約の成立
婚約破棄に、正当な理由がないときは、慰謝料請求をすることができます。
慰謝料請求には、まず、「結婚の約束をしていたこと」と「正当な理由なく破棄したこと」がポイントになります。
結婚の約束をしていたこと
交際している2人がなんとなく、結婚を意識していた、だけでは婚約にはなりませんが、2人で口約束していたような場合でも、婚約としての合意は成立しています。
しかし、口約束していただけでは、相手方が「してなかった」と裏切ることもありますし、また、慰謝料請求には、第三者からみて、客観的に婚約していたと認められるような証拠が必要になります。
例えば、婚約指輪をもらった、結納をした、結婚式場を予約した、友人や親に婚約者として紹介した、があれば、婚約として認められるでしょう。
正当な理由によらない破棄
婚約破棄にも正当な理由が必要ですが、正当な理由がない場合は、慰謝料が認められます。
例えば、他の人を好きになった、は正当はな理由ではなく、慰謝料請求が認められる可能性は高いでしょう。
他に、判例などで、正当な理由ではない、と判断されたのは、
1 性格の不一致
2 容姿に対する不満
3 年齢
4 親の反対
5 方位が悪い
6 家風にあわない
7 婚約者の家族に前科がある
などです。
これらを理由にした婚約破棄は、慰謝料請求ができます。
慰謝料請求
慰謝料請求の額は、一般的に数十万から200万円くらいまででしょう。
精神的苦痛としては100万円前後で、あとは、婚約に向けてかかった実費の請求もできます。
また、ご相談者様のように、勤務している会社に継続して勤務できない場合は、逸失利益も請求できるでしょう。
すでにもらった結納は、相手に正当な理由がない場合は、返す必要はありません。
婚約破棄における慰謝料は、交際相手との手切れ金の要素もあります。金額をもらうことで、過去をふっきれて、前を向けるのであれば、慰謝料請求もよいかもしれません。
ただし、金銭を要求することで、辛い過去も掘り起される危険もありますので、強い気持ちで望む必要があります。
特に、婚約者から性格の不一致を理由で、結婚しないと言われましたこと自体に傷つくこともあれば、結納や結婚式場は予約していなくても、お互いの親や友人に紹介して、将来結婚すると話していたのであれば、なおさら思い出を掘り起こすことになるかもしれません。