夫が無精子症だとわかりました。子供ができないことを理由に離婚できますか

ご相談内容

結婚してしばらくは、夫婦だけで外食や旅行を楽しんできましたが、30歳を超えてから、早く子供がほしいと思い、夫も協力してくれました。

なかなか、子供ができないので、2人で、妊活として病院で検査したところ、夫が無精子症であることがわかり、子供ができることはないことを知り、ショックを受けました

夫本人も、ショックを受けているようですが、2人でこれからも楽しくやっていこうと言われて、私の本心はどうしても子供が欲しかったので、両親や友人にも打ち明けることができず、苦しんできました。

さんざん考えた末、夫のことは好きだけれど、子供のいない将来に、幸せな未来を描けず、身勝手だとは思いますが、離婚したいと思っています

子供ができないことを理由に離婚できますか。

自分を守るための法律

かつて、「子どもを産めない妻は、離婚してもよい」という悪しき古い価値観がありました。

子どもを産めない女性も、子どもを授かれない男性も、人間として価値が劣るわけではありません。

このようなある意味で偏見が、多くの人を苦しめることもあったように思われます。

現行法では、憲法に第13条に「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定められていることや、その他、婚姻における男女の平等が定められています。

子供ができないことは離婚事由にあたらない

女性や男性が、子供ができない体質だとわかっても、誰からも責められる点はありません。

その配偶者ももちろんですが、家族からも責めることは許されません。子供ができる、できないという体は、個人の努力で変えられるものではなく、その体質を責めることは、その個人を否定することと同じです。

したがって、「子どもが産めない、子どもを授かることができない」という理由で、離婚はできません。

離婚請求

たとえ、自分が妊娠できる体質ではない、自分は無精子症であるということを、知っていて、隠して結婚したとしても、結婚は子どもを産むことだけがゴールではないため、隠して結婚しても、違法ではありません。

ご相談者様のように、夫が無精子症で子どもができない、ということを理由にして、離婚裁判をしても、裁判所は請求を棄却する可能性が大きいでしょう。

慰謝料

子どもができないことを理由に離婚請求して認められることはありませんが、もし、配偶者が、子どもができないことを責められて離婚することを選択した場合、その精神的苦痛により、慰謝料請求も可能です。

子どもは、産んでも産まなくても、それは婚姻における一つの形であり、配偶者や家族から尊重されなければなりません。

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