離婚時の財産分与の基準日はいつか

ご相談内容

結婚して6年目に、夫の浮気により、離婚することになりました。

夫の浮気が発覚してからも、夫が1年ほど浮気を認めなかったために、私は、必ず離婚するとだけ宣言して、家庭内別居をしていました。

私もすぐに、独立して生活することができなかったことも理由の一つですが、同じ家にいても、夫のための家事は一切放棄して、寝室も別で、口も聞かずに生活していました。

やっと夫が離婚を認めて、今までの財産を分けることになったのですが、別居の日がないために、いつを財産分与の基準日にしたらよいでしょうか

基準日の考え方

財産分与確定の基準日とは、いつの時点で存在した財産を、財産分与の対象とするか、という重要な問題です。

財産分与は、夫婦がその協力によって作り上げてきた共有財産を分けるものですから、夫婦関係が終了した時点を基準日として、精算します。

夫婦の経済的協力関係は、通常、別居によって終了すると考えられますので、その基準日は、原則として「別居日」となります。別居した日が、少しづつ荷物を出したりして、明確でない場合、その月の末日とすることが一般的です。

家庭内別居の場合

ご相談者様のように、離婚する意思はあっても、実際の別居に踏み切っていない、家庭内別居の状態にある場合はどうでしょうか。

一つ屋根の下で、同居しつつも、離婚するつもりでだった言われても、第三者かそれを評価することが難しいこと、また、分与する財産と分与しない財産を分けるという目的から考えても、同じ家で生活している以上、客観的に経済的協力がなくなったと言うことが難しい、ことから、家庭内別居日を、基準日とするのは難しいことが現状です。

また、「相手から無視された日」「不貞行為が発覚した日」「離婚意思を伝えた日」という主観的な時点は、基準日としても、不適当であり、実際の別居より前を基準日とすることは認められません。

家庭内別居をしながら、離婚や財産分与を行う時は、離婚調停を申し立てた日を基準日とするのが一般的です。

単身赴任日

別居した日を基準日とするとは言っても、単身赴任による別居日は、基準日にはなりません。

単身赴任をしていても、子供の進学のため、仕事の都合のため、などであり、そのような場合、夫婦の経済的協力がなくなったわけではないからです。

単身赴任中の間に、夫婦の間に問題が具体化し、婚姻関係が悪化した場合、経済的協力関係がなくなった日を特定できないために、この場合も、離婚調停の申立日を基準日にすることが多いです。

また、単身赴任が終了し、自宅に帰ってくるべきところが、自宅に帰ってこなかった、同居が再開されなかった場合は、この時点を別居日として、基準日とすることもあります。

別居を繰り返す場合

夫婦の間で、離婚に向けて話し合いが何度もあり、その都度、同居と別居を繰り返す場合もあります。この場合は、最後の別居日が基準日となります。

また、夫婦関係が徐々に悪くなり、職場の近くの家に単身で住んで、平日はそこで生活し、週末は自宅に帰る生活を続け、だんだん自宅に帰らなくなる場合もあります。

その場合は、明確に、何月何日以降は自宅から出た、という日が明確であれば、その日を基準日としますし、不明な場合は、やはり離婚調停の申立日を基準日とすることもあります。

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