婚姻費用の計算時に、相手方が収入を開示しない

ご相談内容

夫と離婚に向けて離婚調停中です。

婚姻中は、夫が生活費を毎月渡してくれて、あとは、家族カードで必要なものを購入していたため、夫の年収は正確に知りませんでした。

夫は大手銀行で高い役職にあり、毎日激務をこなしていたおかげか、生活は、平均よりは高い水準だったと思います。

離婚の調停で、婚姻費用を計算するために、夫の年収を把握したいのですが、夫が資料を提出してきません

このまま隠し通された場合、どのように婚姻費用を計算したらよいのでしょうか。

婚姻費用

夫婦が離婚に向けて話し合っている最中でも、収入の多い方は少ない方に、生活費である婚姻費用を毎月支払わなければなりません

そのため、支払う義務者、多くの場合は夫側は、収入に関する資料である、源泉徴収票、確定申告書など、得ている収入の種別に応じた収入資料を、提出する必要があります。

同時に、義務者は、負担している住宅ローンや、子供の学費など、すでに払っている金額があれば、それらも提出するべきでしょう。

収入資料を提出しない場合

ご相談者様のように、支払いをすべき義務者が、相手に総収入を把握されないように、収入資料の提出を、言い訳をつけて拒否し続けることもあります。

調停員や、弁護士がいる場合は、相手に、収入資料を提出するように、再三申し入れをしても、頑なに拒否された場合は、権利者はどうしても、収入を把握する必要があります

所得証明書

義務者が収入資料の提出を拒否する場合、権利者でできることは、義務者の所得証明書を取得することができる場合もあり、多くはこの方法を取るようです。

別居時も、住民票を異動せず、権利者と義務者である夫婦が住民票上、同一世帯の親族であれば、住んでいる役所で、所得証明書を得ることができます。

調査嘱託

調停や裁判中であれば、裁判所に対して、義務者の収入について、裁判所から自治体などに調査をするよう、申し立てることができます。収入の調査ですので、市町村区や義務者の勤務先などに聞くことになります。

裁判所が、自治体や勤務先または税務署に、調査嘱託をすると、依頼先はこれに応じる義務があると一般的には応じなければならないとされていますが、実際では、守秘義務を理由に、回答拒否する自治体や勤務先もあります。

自治体や勤務先によって、対応がバラバラなのが現実です。

潜在的稼働能力

所得証明書も取れず、また自治体や勤務先も回答を拒否してきた場合は、どうしたらいいでしょうか。どうしても収入がわからない場合は、その人の稼働能力という、平均的な収入を使う方法があります。

これは、賃金センサスなどを見て、その人の年齢や学歴や性別から、平均的に得ているだろう収入を推定して、使うことができます。

ただ、この金額は、あくまでも推定でしかないため、使用する際は、他の証拠などがない限り、そのまま使われず、平均賃金より少なめに見積もられることもありますので、要注意です。

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