ご相談内容
出会い系アプリで知り合った男性と交際していました。
彼は、結婚しているのですが、すでに夫婦関係は破綻していて、妻と近いうちに別れるから、離婚したら結婚しよう言われて、私もそのつもりで交際を開始しました。
交際中も、彼は、結婚を隠したまま、私の両親に挨拶に行き、まわりからには婚約者として紹介して、彼の離婚を待っていました。
しかし、彼が奥さんに離婚を切り出したところ、奥さんが反省するから別れないでほしいと泣きつき、最終的に彼は奥さんのところに帰っていきました。私は捨てられたのです。
絶対結婚すると約束したからこそ、結婚前提で交際を開始したのに、両親にも合わせる顔がありません。こんなひどい目にあって、彼に慰謝料を請求したいです。
婚約不履行の責任
結婚していない男女で、婚姻を約束した婚約においては、婚約破棄による慰謝料請求は認められますが、相手に配偶者がいるとわかっていて交際したような場合には、原則的には、慰謝料請求は認められません。
相手が結婚の約束をしたのに、できないような約束をして、結婚することを期待したのに、その責任を問えないのは、悔しいかもしれません。
しかし、そのくらい「離婚」することは、人生の重要な問題であり、一歩的な気持ちだけで判断できることではないのです。特に子供がいる場合には、子供と別れることは容易ではなく、その後の財産分与や養育費も大きく、負担になります。
また、逆に、婚姻している男性と交際したことで、奥さんにとっては夫の不貞行為となり、逆に慰謝料請求をすることもできます。
相手の悪質性
今回のご相談者様の場合もそうですが、相手の男性が、夫婦関係は破綻している、また別居中である、妻も離婚することに同意している、などと、法律婚が事実上破綻していると認識して、婚約した場合などは、慰謝料請求が認められた裁判例もあります。
同様に、相手が独身であると偽っていた場合には、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。
また、交際中に、妊娠し、相手が結婚しているために中絶をさせられたなどの場合には、身体に対する負担が大きいので、交渉や調停、裁判で、慰謝料や和解金が支払わられることもありますが、実際は金額はあまり大きくありません。
ここで気を付けなければならないのは、婚約の破棄の証拠はもとより、どんな交際関係があったのか、のちに検証できるようにしておくことです。わりと、忘れたくて証拠の類を捨ててしまう人は多くみられます。
証拠証拠というよりも、実際にどんな関係があったのか、推認しうるようにしておくことが重要です。