離婚時に、高額な婚姻費用を約束してしまい、ずっと払っていますが、減額できないでしょうか

ご相談内容

3年前に、わたしの浮気が原因で、妻と離婚しました。

当時、早く離婚できるならと、妻と話し合って、ボーナス以外の当時の給料を半分額払うことで合意して、公正証書を取り交わし、現在も支払っています。

別れて3年たち、妻も仕事を初めて、収入を得ているようですし、いくらなんでもこの先ずっと、給料の半額を払うのはおかしいと思います。払いすぎている婚姻費用を減額、または取り戻せないでしょうか。

婚姻費用分担

婚姻費用とは、夫婦が生活していくために必要な衣食住の費用、子供の養育費、医療費などかかる費用のことです。

民法770条には、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定めています。

どちらか一方が収入がなかったり、パートで収入が少ない場合でも、収入がある方が少ない方に、生活費を渡さなければなりません。同居していて、どちらかが生活費を渡さない場合、別居していて、生活費が払われていない場合もありますが、同居、別居に関わらず、婚姻費用の請求はできます。

婚姻費用の金額や支払い方に決まりはないので、お互いの経済状況に合わせて合意された方法で、支払いうことになるのが現実的です。

婚姻費用の金額

裁判所は、夫婦が円満に生活している場合、夫婦のどちらか一方が合意により、適当な額で負担している婚姻費用は、特段の事情がない限り、考慮することはできないとしています。

大阪高決平成21年9月4日の判決にも、夫が約14年間別居して、妻に、「賞与を除く給与の月額手取り額の2分の1をやや下回る額(12万円)を支払っていましたが、夫婦が、婚姻費用について、「標準算定表方式」に基づいて算定した金額より、高い金額の婚姻費用分担の支払いについて、「当事者が自発的に、あるいは合意に基づいて婚姻費用分担している場合に、その額が当事者双方の収入や生活状況にかんがみて、著しく相当性を欠くような場合であれば格別、そうでない場合には、当事者が自発的に、あるいは合意に基づいて送金した金額が、審判をする際の基準として有用ないわゆる標準算定方式に基づいて算定した額を上回るからと言って、超過分の財産分与の前渡しとして評価することは相当ではない」として、12万円が著しく相当性を欠いて過大であったとは言えない判断しました。

婚姻費用の減額

離婚時に取り決めた婚姻費用について、その後2人の生活状況も変化してきます。

ご相談者様の場合も、元妻が仕事を得て収入を得るようになったという事情もありますので、支払っている金額が、当時と状況が異なるということで、婚姻費用の減額を申し入れてみてください。

現状の2人の収入、また、再婚などの生活状況から、改めて計算し直すことも現実的でしょう。

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