離婚の時、公正証書を作っておくと良いといわれました

ご相談内容

和解して離婚するのですが、その内容を公正証書にして作っておいた方がいいと助言されました。
そもそも公正証書は何で、どうやって作るのですか?
また、本当に必要なのか、作っておいたらなにかメリットがあるのか、逆にデメリットがあるのかを教えてください。

公正証書とは

公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。 各地に公証役場というところがあって、公証人が合意内容を公正証書にしてくれます。

ちなみに、公証人とは、裁判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家であり、準公務員という扱いになります。もと裁判官などが行っていることが多いです。 「公正証書」には証明力があり、執行力を有しており、裁判や調停を行ったのと同様に、強制執行が可能になるのです。

公正証書を作成した方が良い場合

公正証書を作成しておけば、金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を内容とする契約の場合、債務者が支払をしないときには、すぐ強制執行ができます。とりわけ、養育費や、支払い義務を分割で果たしていく場合には、安心です。

作成の場合は、公証役場に手数料を払う必要があります。内容によって異なりますが、数万円単位です。

公正証書を作成した方がいい場合は、

離婚の合意内容に、養育費について決めている
将来にわたっての支払いの約束は、生活の変化により支払わなくなることも予想されます。その場合に、裁判を起こさないで、強制執行(不動産や給料を差し押さえて払ってもらう)することができます。

慰謝料を分割払いで払うことになっている
相手方に支払能力がなく、長期の分割払いとする場合、支払ってもらえなくなることを想定して、強制執行ができる公正証書の作成を検討すべきです。

年金分割をすることになっている
夫婦の1人が、年金事務所にて年金分割手続を行う場合は、夫婦双方が年金分割に合意したことおよび分割の割合(按分割合)を記した「合意書」が必要となります。その合意書は、公証役場で公証人から認証を受けたものでなければなりません。2人で年金事務所に行って、年金手続きする場合は、その合意書は不要ですが、離婚した2人が揃って年金手続きをすることは、通常難しいと考えられます。

公正証書を作成するときの注意点

公正証書の作成した方がいい場合というのは、養育費、慰謝料、年金など継続的な金銭を受け取る側にあります。つまり、金銭を支払う側の場合は、あまりメリットがないと言えます。

では、公正証書を作っておけば、金銭は継続的に支払ってもられることを保証してくれるというのは、間違った考え方です。

公正証書は、相手が金銭債務を履行しない場合に、裁判所で裁判しなくても強制執行できるというメリットなので、相手に支払う金銭が全くなく、差し押さえるものがないときは、100%払ってもらうことは保証できません。

公正証書作成の意味

公正証書を作成するという行為は、公証役場に行って、公証人の前で公正証書を締結するというプレッシャーを、金銭を支払う側に与えます。それにより、約束を破るリスクも少なくなる傾向にあります。

したがって、金銭支払いが絡む協議離婚の場合は、公正証書を作成する検討は必要です。

適切な内容の公正証書がないと、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 相手方が養育費を支払ってくれない
- 相手方が長期分割払いにしていた慰謝料を支払ってくれない
- 面会交流をさせてくれない
- 解決していると思っていたのに、離婚後不当な要求をされている
- 年金分割に応じてくれない

このような問題が発生しないように、離婚に際し、正式な合意書を締結することは大切です。

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