事例
夫の不倫が発覚し、「離婚する」と言い出したら、「じゃあ、離婚しよう」と、夫が離婚届の準備をしてしまいました。
子供の養育費、今後の生活などを考えると、つい一時的な怒りで、「離婚する」と言ったのですが、取り消したいです。
夫にそのことを言うと、合意したじゃないか、SNSでの証拠もあるから取り消しなんかできない、と言っています。
離婚届の不受理届を提出してください。
離婚は、離婚届を提出した時点で成立します。
一旦は離婚の意思をもって、書類を作成したとしても、届け出の時点で、離婚の意思がなければ、その離婚届は無効のため、離婚は成立しません。しかし、実際に離婚届を偽造するなどして、提出されてしまうと、これを無しにすることは極めて困難です。
そのために、不受理申出を提出する必要があります。
不受理届けを提出する役場は、離婚届を出せる市町村役場であれば、どこでも大丈夫です。書類は、役場にありますので、署名捺印すれば、その場で提出できますが、本当の事実を全て把握することは難しいと思います。
不受理届を出し、一方的な離婚届の提出はできない状態になったとしても、今後は、離婚をしないのであれば、衝動的な同意であったことから、いったん同意した事実を撤回する、撤回した証拠を残す、などの行動に出る必要があるでしょう。
もちろん先方はいったん同意したはずであると話をするでしょうから、同意したかもしれないが、撤回する、そのうえで、離婚をしたくない理由はどのようなものか、しっかり説明をする、別居などに至った場合に葉婚姻費用分担請求などの正当な権利を実現していく、など、ステップで考える必要があるのです。
実際問題、夫の不倫が発覚し、「離婚する」と言い出した時点で、その主張は有責配偶者からの離婚請求です。
そして、「じゃあ、離婚しよう」と、夫が離婚届の準備をしていたとしても、慰謝料請求権などは消滅しません。
子の養育費、今後の生活などを考えると、つい一時的な怒りで、「離婚する」と言ってしまったとしても、その生活の安定などの観点から、撤回することは十分考えられるのです。また、夫にそのことを言うと、合意したじゃないか、SNSでの証拠もあるから取り消しなんかできない、と言っていたとしても、それは法的には不正確と言えるのです。
安心してください。