知らずに不倫していた!慰謝料請求できる?慰謝料請求される?「貞操権侵害」とは

この記事のポイント

  • 交際相手が既婚者だった場合、婚姻などの約束をしていれば、慰謝料請求できる可能性があります
  • ただし既婚者のパートナーから慰謝料請求されるリスクもあります
  • 交際を続けてしまえば「不法行為」として離婚問題や多額の慰謝料請求に発展することがあります

真面目に付き合っていたはずなのに、交際相手が既婚者だったということがあります。

相手のことを腹立たしく思い

「騙したのね!」

と慰謝料請求したい気持ちになる人も多くおられます。

しかし冷静に考えてみると、相手のパートナーからすれば私は不倫相手。

慰謝料請求されるんじゃないかと不安になってしまうのではないでしょうか。

結論からいいますと、このようなケースを「婚姻関係の不当破棄」「婚姻予約の債務不履行責任」といって、交際相手に対して慰謝料請求することができますし、相手のパートナーから慰謝料請求されることもあります。

ではこの「貞操権侵害」について詳しくみていきましょう。

「貞操権侵害」とはなに?

  • 相互に性的秩序を維持する期待・法的利益のことを「貞操権」という
  • 騙されて性的な関係を結ばされると、不法行為責任が成立することがある
  • 「貞操権侵害」は慰謝料請求(損害賠償)の対象となっている

「貞操権侵害」とは、貞操権を侵害した行為のことをいいます。では「貞操権」とは何かといいますと、性的な関係を結ぶ権利のことを指しています。

民法752条に「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められていますが、このなかに「貞操権」も含まれていると解されています。

では「性的な関係を結ぶ権利」とはどういうことかといいますと、私たちは付き合った相手や愛する人と結ばれたいと考えています。

無理やり性的な関係を強要されることは絶対に嫌なことですし、騙されて関係を結ばされるということも望まないでしょう。

つまりこのような行為が「貞操権侵害」に当たるもので、慰謝料請求(損害賠償)の対象となっています(民法710条)。

つまり既婚であることを知らずに付き合っていたとしたら、相手に対して慰謝料請求できる可能性があります。

また、婚姻の約束や婚姻関係の成立を予定したものであれば、『婚姻予約の債務不履行責任の追及』が視野に入ります。

そもそもあなたは既婚であること知っていたら付き合っていなかったでしょうし、既婚である人と性的な関係を結ぶことを望んでいないからです。

浮気相手のパートナーから慰謝料請求される?

  • 「貞操権侵害」は既婚者の妻(夫)にも認められる
  • 場合によっては不倫相手として慰謝料請求される可能性が
  • 既婚者と知ってしまった場合にはすぐに別れるべき

「貞操権侵害」は、既婚者と知らずに付き合っていた場合に認められるものではありますが、同時に付き合っていた相手の妻(夫)にも認められるものです。

そもそも「貞操権侵害」は独身者だけに認められるものではなく、夫婦間においても存在するものです。

夫婦間の場合においては、パートナーが他の人と肉体関係を結ばないように要求する権利と解されています。つまりパートナーが浮気や不倫をしないように求めるものだといえるのです。

つまり知らないとしても既婚者と付き合っていたわけですから、そのパートナーに対して貞操権を侵害していることになり、不倫相手に対して慰謝料請求することが可能なのです。

もちろん知らずに付き合っていたわけですから全ての慰謝料請求が認められるわけではありませんが、慰謝料自体が認められることは珍しくないのです。

そのため相手がもし既婚者と知ってしまった場合には、すぐに別れるほうが無難であることはまちがいありません。ただ気持ちの問題はあるでしょうから、具体的に婚姻に向けて話が進行してしまっている場合には難しいかもしれません。

この場合には、故意で先方のパートナーの貞操権を侵害したとはいえませんから、無過失である旨主張し、慰謝料の負担を免れるべき主張が可能です。

既婚者だと知った後に交際を続けていた場合

  • 既婚者だと知った後に交際を続けていたら「不法行為」として慰謝料請求の対象に
  • 「不貞行為(肉体関係・性的関係)」は離婚原因として民法でも認められている
  • 「不法行為」によって多額の慰謝料請求の可能性もあるので注意が必要

相手が既婚者だと知ったとしても、すぐに別れられない可能性もあります。どうしても自分自身の気持ちに整理がつかず、だらだらと関係を続けてしまうということで珍しいことではありません。

しかしこの場合においては、民法770条に定められている「不貞行為」にあたります。 また、不法行為責任を負い、慰謝料請求を受けてしまうリスクを負います。

民法770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

①配偶者に不貞な行為があったとき。

このように定められている通り、離婚原因とできる条件とされています。ちなみに不貞行為とは肉体関係・性的関係を結ぶことを指しています。

ただしこれらは、調停前置主義といって、先に離婚調停を挟むことが必要となります。

交際を続けているということは、既婚者であることを前提に付き合っているわけですから、民法においては「不法行為」と認定され、他人の権利を侵害していることになります。

このような場合においては、既婚者と知らずに付き合っていたときとは違い、多額の慰謝料(損害賠償)となることがありますから注意が必要です。

まとめ

  • 知らずに既婚者とつき合っていた場合は相手に慰謝料が請求できる可能性があります
  • 既婚者の相手側から慰謝料請求される可能性があります
  • 既婚者と知ったのであれば、慰謝料を免れる観点からは別れるようにしましょう

既婚者であるということを隠して、付き合っているということは珍しいことではありません。

しかし隠されてなければ、付き合うこともなかったでしょう。

そのような場合には「貞操権侵害」として慰謝料請求できる可能性がありますからすぐに弁護士に相談してください。

ただし既婚者のパートナーから「貞操権侵害」として慰謝料請求される可能性もありますから、すぐに別れておくようにします。

別れられなければ「不法行為」として、多額の慰謝料請求に発展することがありますから注意が必要です。

もちろん、何も知らなかったのであれば、故意はなく、無過失であると主張をすべきですが・・知ってしまったのちは、故意責任を負うこともあるのです。

このような状況でお困りであれば、不倫や浮気問題に精通した弁護士に相談することが適切です。法律の観点から適切なアドバイスがもらえます。

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