養育費の取り決め
離婚により、経済的に困窮するのは、圧倒的に女性側になります。
これは、女性の社会的地位の低さや低所得だけでなく、その理由の一つに、親権をもつのは母親が多い点です。
共同親権が認められていない日本では、母親が育児の主たる担い手になり、80%以上の割合で母親が親権をもつことになあります。全国の母子世帯数が約75万世帯に対して、父子世帯数が約8万世帯と、大きな差があることからもわかります。
母親に収入がない場合、または父親より低い場合でも、母親が子どもを育て、その養育費は父親が払うという考え方にあり、もし、父親が養育費を支払わなかった場合は、母と子は生活がすぐ困窮してしまいます。
それにも関わらず、離婚時に、養育費の取り決めをしていない母子家庭が大半をしめています。以下に、「全国ひとり親世帯等調査」(平成28年度)の結果です。
養育費の取り決めをしましたか?
養育費の取り決めをしましたか?(母子家庭が対象)
54.2% していない
42.9% している
2.9% 不明
取り決めをしなかった理由としては、
31.4% 相手と関わりたくない
20.8% 相手に支払う能力がないと思った
17.8% 相手に支払う意思がないと思った
という結果になっています。
では、実際に、養育費を受け取ったことがある人の割合はどうなっているのでしょうか。
離婚した父親から養育費を受け取っていますか?
56.0% 一度も養育費を受け取ったことがない
24.3% 現在も受け取っている
15.5% 受け取ったことがある
4.2% 不明
現在も養育費を受け取っている人は、24.3%のみという結果です。
養育費のとりきめ
養育費は、両親の収入や財産などを基準にして、取り決めます。
お互いで合意できれば、その金額で問題ありませんが、合意できない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めます。
その時の参考になるのが、裁判所で公開している養育費算定表がありますので、これを参考にしてください。これは、子どもの人数と年齢、受け取る側の収入、支払う側の収入から標準的な養育費を割り出せるような表になっています。
養育費取り決めのポイント
養育費は金額を決めるだけでなく、支払い期限、支払い方法、増額や減額などを話し合いでできる、などの項目を入れておくとよいでしょう。
またお互い話し合って、紙に書くだけでなく、公正証書にしておくと、支払われなかった時に、強制執行などで、支払いを実行させる権利を持ちます。
ただし、たまっている養育費は消滅することはなく、債務者が他の強制執行などをされてしまう前に権利を確定させておき、配当を要求する方法などはあり得ると思います。