妻から離婚の公正証書にサインしろと言われました

ご相談内容

私の度重なる浮気が理由で、ついに妻から離婚を切り出されました。私も、自分の浮気が原因ですし、離婚することは同意しているのですが、子供のこととか、財産や家などどうするのかがよくわかっていません。

しかし、妻の気持ちは固まっているようで、インターネットから色々な情報を取り寄せて、離婚条件を決めているようです。

ある日、妻から、公証役場で作成してきたという公正証書を見せらせて、もともとあなたの不貞行為が原因なのだから、慰謝料や財産分与や養育費など金額が書かれた書面に、サインしろと要求されました。

ざっと読むと、慰謝料が500万円、財産分与では今住んでいる家や車など一切をもらうこと、子供も1人なのですが、私学の学費を含めて月50万円の支払い、分与する貯金も半分以上の金額が書かれています。妻は、公証役場で作成したのだから、ちゃんとしたものであると、言っていますが、私はこの金額を支払ったら、この先生活が成り立たなくなります。どうしたらいいでしょうか。

協議離婚

離婚においては、約80%が協議離婚であると言われています。

現在では、様々な情報がインターネットを通じて入手できるため、離婚に関して細かく取り決めて、2人で離婚合意書を作成したり、また公証役場に行って公正証書で離婚合意書を作成することも少なくありません

離婚に際して、弁護士に依頼する人もいますが、多くは費用の面や、弁護士に依頼した場合、紛争期間があり長期化するために、早く離婚したいと考えている人は、自分たちで話し合って作成するようです。

もちろん、話し合って合意できればよいのですが、夫や妻の不貞行為で離婚に至る場合は、どちらかが離婚を早くしたいという気持ちから、相手の有利な条件を飲んでしまって、あとから問題なる場合もあります。

例えば、高額な慰謝料や、財産分与、養育費について、支払う義務者が、将来に渡り、支払い困難になることもあります。

離婚の合意書は、離婚するその時点だけにとどまらず、将来のお金に関することも多いので、離婚条件に関しては、弁護士や有識者に相談することをおすすめします。

離婚合意書の無効

離婚に際して、当事者の間でとりきめた離婚合意書自体を無効にした事例は少ないです

財産分与で土地や建物を譲渡された側が、高額の所得税が課税された事例で、分与する側が分与される側にそのことを隠していたとして、財産分与契約が錯誤として無効とされた事件はあります(東京地判平成3年7月19日判タ778号)が、これは、予想外の課税という事例であり、一度取り決めた離婚合意書自体を無効とされることは、ほとんどありません。

また、養育費についても、子供が私立高校や大学、医学部、留学などでお金がかかることを理由に、高額の養育費を合意した事例においても、仮に、当事者が養育費の算定表などを知らなかったということを理由に、錯誤として無効だと訴えても、これが無効になるかと問われると、難しいですが、場合にもよりますので、方策は検討できます。

減額調停の申立て

高額な慰謝料を取り決めてしまった場合は、養育費減額の申立をすることができます。養育費の支払いは長期に及ぶため、お互いの収入に応じて対応していかないと、支払う側が破産してしまっては、そもそも子供に養育費を支払うことができなくなります。

また、ご相談者様のように、自身の不貞行為が原因で離婚する場合、自分から離婚訴訟を起こしても夫の離婚請求は認められません。

このような場合でも、妻が離婚を望んでいる場合は、高額な慰謝料や財産分与の条件に合意して離婚するよりは、離婚調停の場で条件の交渉をする方がよいことも多いでしょう。

公正証書に署名する前に

協議離婚で、自分が有責配偶者であっても、公正証書で離婚合意をする場合は、離婚条件や交渉は当事者で行う場合は、弁護士に内容を相談にいくなどのアドバイスを得られるとよいでしょう。

調停や訴訟になった場合の条件はどの程度かについて、よく比較検討してから、公正証書に署名捺印してください。

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