65歳の父が、入籍せず事実婚として60歳の女性と暮らします。父が亡くなったら、子供はその女性の面倒をみないといけないのでしょうか

ご相談内容

36歳男性です。母が亡くなって5年経ち、65歳の父が、サークルで知り合った同世代の女性と真剣に交際を始めました。

父が幸せになってくれるならと、最初は応援していたのですが、最近同棲を始めて、結婚生活同様の暮らしをしています。父は、後々のこともあるし、年だから結婚なんてしないと言い、事実婚の形式を選択しています

最近、父が病気をして入院した時も、その女性はよく父の面倒をみてくれていて、助かっているのですが、この先万が一、父に何かあった時、子供である自分は、事実婚の妻の面倒を見なければならないのでしょうか。

扶養の義務はありません

民法877条では、直系血族と兄弟姉妹の間では、常に扶養義務があると定めています。また特別な事情があるときは、3親等内の親族でも扶養義務を負わせることができるとしています。

今回のご相談者さまと事実婚の妻の関係は、直系血族でも3親等内の親族でもないので、扶養義務はありません

事実婚の妻の生活

事実婚の相手と子供には扶養義務がないので、何も責任がなく、この点において、親が事実婚を選択することによって何もデメリットは生じません。親としても、子供に迷惑をかけたくないという観点から、この選択をすることもあります。

ただ、今回のご相談者さまの場合もそうですが、自分の親が病気の時に、親身になって介護をしている女性が、父が亡くなった場合、何も将来の保証がなくなってしまいます。つまり、子の扶養を受けることができない反面、事実婚同士でも、一方が万が一亡くなった場合でも、将来の生活費を遺贈するという遺言を作って生活を保護することが可能です。

子供からみた事実婚の親

親が事実婚を選択した場合、事実婚の相手とは扶養義務はなく安心ですが、事実婚相手に対して将来生活の問題が発生しないように、よく話し合っておく必要があります。

事実婚の相手の生活が困らないように、遺贈する遺言を作成するということは、子供の相続分を減らすことを意味します。残されたパートナーや子供が困らないように、納得する方法を考えてください。

解決にむけて

お父様の真剣交際それ自体は、否定できないとは思います。ただ、事実婚は法律婚と異なるのは事実ですから、ある意味他人です。その方と、相続財産をめぐって争いになることだってあるのですから、たとえば、お父さんとよく話し合って、遺言などを書いてもらう方法を取ってみるのも一つかもしれません。

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