ご相談内容
10年前から別居状態の夫と、離婚します。夫は退職して、現在は年金暮らしをしています。夫と離婚したら、年金を分割してほしいのですが、どのような制度がありますか。
年金分割
離婚すると女性の年金が少なくなる場合があるので、離婚時には年金を分割する制度があります。夫の分の年金を、離婚後には妻に分割することにより、妻の生活を保護します。離婚時の年金分割には、合意分割制度と3号分割制度の2種類があります。
合意分割制度
合意分割とは、離婚時に夫が払っていた厚生年金保険に該当する部分の年金の半分を、妻の年金として渡すものです。年金のうち、老齢基礎年金は分割の対象にはならず、老齢厚生年金が対象です。夫と妻の報酬比例部分の50%を限度として(共働きの場合には、二人の報酬比例部分を合算して50%が限度)、妻独自の年金として支給を受けられるようにできます。これには、夫の合意が必要です。
3号分割制度
妻が専業主婦の場合などの第3号被保険者の場合は、夫の合意がなくても、婚姻期間にかかる夫の厚生年金記録を分割できます。ただし、夫の合意がなくてもいいのは、平成20年4月以降なので、それ以前については、合意分割を使います。
夫側年金年300万円の場合
夫が年金支払いを40年間、婚姻生活が30年間で、夫の年金が300万円の場合、年金300万円のうち、定額部分90万円と加給年金が30万円だった場合、定額部分と加給年金は対象にならないため、300万円から90万円と30万円を引いた、180万円が年金分割金額になります。婚姻期間が30年間なので、30年÷40年に180万円をかけた金額の135万円が分割できる年金額です。夫が妻の年金分割に合意した場合、この135万円の50%である67万5000円が妻に分割されます。妻自身の老齢基礎年金が年50万円だった場合、67万5000円を足して、合計117万5000円が支給されることになります。
また、平成20年4月以降分として、妻が3号分割を請求した場合、夫の標準報酬月額が40万円だとすると、夫婦で50%ずつの、夫20万円、妻20万円が、分割された年金として、妻の年金となり計算されて支払れることになります