夫と10年前から別居状態で、最初の2年だけは養育費が振り込まれていました。夫は、他の女性と同居していて、夫の母と3人で生活していましたが、最近夫が死亡しました。遺族年金は妻である私が受け取れますか。

ご相談内容

10年前に夫が他の女性を好きになり、家を出ていってしまいました。

もし私が夫と離婚したら、その女性と結婚することが許せず、離婚は絶対認めませんでした。夫は子供の養育費は、毎月支払ってくれていますし、定期的に子供に会いにきてくれます。

夫は、私が離婚しないことに対しては諦めているのか、その女性と夫の母と3人で暮らし、住民票の世帯も同じくして、事実婚を選択していました。

10年も別居しているので、夫としては離婚調整を申し立れば認められると考え、離婚調整を申請した途端、不慮の事故で亡くなってしまいました。

夫とは、法律上結婚していますので、夫の遺族年金を請求していますが、同時に事実婚の妻も遺族年金を請求したと聞きました。どちらが遺族年金を受取ることができますか。

事実婚

事実婚は、同居しているだけでは、同棲の扱いで、事実婚と認められません。

共同生活をしているだけではなく、当事者間に婚姻の意思があること、生計を同一にしているが重要です。

今回のご相談者の場合は、夫が離婚調整を申し立てる準備をしていたことから、離婚の意思が明確であると考えられます。
事実婚で、生計を同一にしていることを証明するためには
- 健康保険の扶養になっている
- 挙式や披露宴を行っている
- 葬儀の喪主になった
- 他の制度で遺族給付をもらっている
- 賃貸契約書に名前がある

などがあります。

法律婚の妻と事実婚の妻

重婚的内縁関係は、通常は、法律婚の妻が法的には優先されます

今回のご相談者の場合、法律婚の妻と事実婚の妻の両方から、亡くなった夫の遺族年金の請求書が提出されています。

今回考慮する点は、
- 法律婚の妻の子供への養育費は最初の2年間のみで、その後払われていない
- 事実婚の妻は、夫の親と同居をして、面倒を見ていること
- 夫の死亡に際して、葬儀一式執り行ったこと
- 住民票も同じくして、生命保険の受取人にもなっていること

など、事実婚の妻が法律婚の妻より、事実上の婚姻関係にあることが認められます。

従って、事実婚の妻が、遺族年金を受給される可能性が高いでしょう。ここでは、法律婚だけが保護対象ではないのです。

おすすめの記事