妻が家事をしないことを理由に離婚できますか

ご相談内容

私の妻は、専業主婦で、私の収入だけで妻と子ども1人が生活しています。私の仕事はかなり忙しく、深夜残業も日常のように発生しており、家のことは全て妻に任せています。

しかし、子どもが産まれてから、妻は整理整頓ができなくなり、掃除・洗濯も手抜きをして、食事の支度も私の分は外食で済ませてほしいと、言う生活です。

確かに、子どもの世話は手間がかかるとは思いますが、普通の専業主婦は、ちゃんとやっているのに、家の中がぐちゃぐちゃな状態に耐えられません。

妻が家事を満足にしないいことを理由に離婚できますか?

婚姻を継続し難い重大な事由にあたるか

夫婦間の協議で離婚が成立しない場合は、裁判所で離婚について話し合い、争うことになりますが、その場合、家事放棄や家の整理整頓ができないことが、民法770条1項5号の、離婚原因に該当するかが問題になります。

「婚姻を継続し難い重大な事由」とは「一般に婚姻関係が深刻に破綻し、婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがないこと」と解されるのが一般です。

夫婦生活における家事

昨今は、女性の社会進出が進み、また少子高齢化社会に入り、女性も仕事をして収入を得て、夫婦共働きでないと、将来設計ができなくなっています。

これに伴って、男性も家事をすべきであるという意識も高まり、家事が得意な男性も増えてきています。

夫婦で、働き、家事を分担している場合は問題はないのですが、夫が外で働き、妻が家事をやるという形態の場合は、妻が専業主婦にも関わらず家事をしないというと、問題が深刻になっています。

一部の人の場合には、単なる家事が不得意という範囲を超えて、家事や整理整頓ができず、家の中が混乱状態になっている場合もあります。

ご相談者様のように、妻の家事放棄を到底容認できないというレベルまで達すれば、共同生活が成り立たず、離婚を請求するしかないこともあります。

個別の事由

上述した「婚姻を継続し難い重大な事由」が、離婚になるかどうかの、判断基準は、1 当事者の離婚意思 2別居の経緯、期間などの客観的事情 が重視されます。

従って、妻の家事放棄や整理整頓ができない、ということを理由として、離婚したい場合にも、妻と別居することが重要となることもあります。

いくら、妻の家事放棄が耐えられない、と言っても、妻と同居した婚姻生活が継続している場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」に認定することは、難しいと思われます。

家事放棄の立証

つまり、家事放棄の程度とは、客観的にはなかなか判定できないものであり、マニュアルは判断基準がないために、「放棄」が「婚姻生活を継続できない」程度のものであることを、どのように立証するかが重要になってきます。

妻の家事能力は、人によって差があり、家事専門家のようなレベルから、家がごみ屋敷になるレベルから、様々です。

ただ、それも、夫や子どもが妻の家事を受け入れていれば、客観的にはごみ屋敷であっても、それは問題になりません。

そのために、どのくらいの家事放棄なのかを、写真などで立証する必要があります。

ただし、最近の家裁実務の方向性としては、妻だけが家事をする、という考え方に立脚した主張は、受け入れがたい傾向にはあります

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