
ご相談内容
妻が浮気をしたことが原因で、3年前に離婚しました。
浮気相手からは慰謝料を請求して、支払ってもらい、妻とは財産分与も行い、一人娘の親権を渡して、養育費や面会交流なども取り決めて離婚しました。その後、決められた養育費はきちんと支払い、娘とは面会交流を通じて成長を感じています。
離婚した後に、妻は浮気相手と一緒に、暮らしていると聞きましたが、子供も一緒なので、浮気相手と自分の娘が同居していることに、不愉快な気持ちですが、子供にも優しくしている様子なので、我慢していました。
ところが、最近、私の娘を、浮気相手が養子縁組すると聞き、それだけは阻止したいのです。
親権者と監護者
夫婦が離婚するときには、未成年者の子どもの親権者を決定します。
一般的には、親権をどうするかで争いますが、親権者は子どもの監護や教育をする権利、子どもの住む場所を決める権利、子どもの代わりに契約をしうる権限などを持っています。そのために、親権者は、子どもの面倒をみて、一緒に生活します。
親権のうち、子どもの監護や教育をしする権利を「監護権」といいますが、親権者と監護者を分けることもできます。
例えば、父親を親権者、母親を監護者とすることにより、母親は子供と一緒に暮らすことができ、父親は親権者となることで、子供の代わりに契約する法廷代理権を持ちます。
法廷代理権とは、子供の名義で裁判をしたり、交通事故などの揉め事があったとき、子供が損害賠償請求などを行いますが、実際の生活の場では、権利を使うことは稀かもしれません。
再婚相手との養子縁組
ご相談者様のように、別れた妻が親権をもっている場合、再婚して新しい配偶者と子供が養子縁組をすることを拒否することはできません。
しかし、上述したように、親権者と監護者を分けておくことで、勝手に養子縁組をされてしまう事態は防ぐことができます。
なぜなら、子供が15歳未満の場合は、親権者の承諾なく、子どもと相手だけの同意で養子縁組をすることはできないのです。
なお、養子縁組をしてしまうことによって、親権変更を困難にするなどの方法が用いられることがあり、怪しい動きがある場合には戸籍をチェックすることが必要になります。
離婚するときに親権と監護権を考える
日本では、子供を育てるにあたって、親権者と監護権者が異なることにより、意見の相違があることは子供の福祉と利益のためには好ましくありません。
しかし、ご相談者様のように、妻が浮気相手と再婚する可能性がある場合は、離婚のときに、妻に監護権を渡しても、親権だけは手放さない方がよいこともあります。
勝手に、自分の子供と再婚相手が養子縁組されてしまうと、離婚のときに約束されていた面会交流についても、再婚相手が、本当の父親同然に育てようと好意に思うあまり、元夫である本当の父親との面会交流をなくすことも考えられます。
この場合も、もし親権をもっていれば、たとえ養子縁組を認めても、面会交流は従来通りにしたい、と相手と交渉する余地が残る可能性もあります。